元々はタグが取りやすいようにとされていた四つ角の仕付け糸でしたが、ジョン・ガリアーノ氏の代になってからはその仕付け糸とカレンダータグが“良い”とされ、現在ではデザインの一部としてメゾン・マルジェラのアイコンになっています。インターネット上ではこの仕付け糸を取るかどうかの論争が起こったこともありました。今回ご依頼を受けたグラム スラムのカメラバッグにもカレンダータグが採用されていますね。メゾン・マルジェラがお好きな方は既にご存知かもしれませんが、カレンダータグの数字にはきちんと意味があります。0から23までの数字が並ぶカレンダータグ。その数字はメゾン・マルジェラのコレクションラインに割り振られた番号なのです。例えば今回のカメラバッグのカレンダータグは「11」に〇がついていますね。11はメゾン・マルジェラでいう「アクセサリーのコレクション」に該当します。メゾン・マルジェラはコレクションラインを一つとっても面白いブランドであり、1997年にはラインのひとつである「6」番から独自に派生した「MM6」というブランドが誕生しています。
2025/04/29
その他修理リペア
Maison Margiela 根革交換修理
こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYAがご紹介させていただくのはMaison Margiela(メゾン・マルジェラ)のショルダーバッグ(カメラバッグ)Glam Slam(グラム スラム)の根革交換です。引き締まったブラックと柔らかな感触のギャップが特徴的なバッグですね。メゾン・マルジェラはベルギー出身のマルタン・マルジェラ氏が1988年に創立したファッションブランドです。当初は「メゾン・マルタン・マルジェラ」という名称で創立され、ジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブディレクターに就任した後2015年に「メゾン・マルジェラ」へ変更しています。マルタン・マルジェラ氏はベルギーのアントワープ王立芸術学院を卒業し、ジャン=ポール・ゴルチエのアトリエでデザインアシスタントとして活動していました。自身のブランドを立ち上げてからは創立者兼デザイナーとして活躍しており、1997年~2003年の6年間はHermès(エルメス)の女性向けコレクションのデザイナーも兼任しています。業界では非常にミステリアスな人物として知られているようで、1997年に撮影された1枚の写真以降メディアには一切顔を出さなくなりました。インタビューにもFAXで回答するなどの徹底ぶりです。親会社であるディーゼル社の代表、レンツォ・ロッソ氏の発言によれば、2008年のコレクション以降、マルタン・マルジェラ氏はデザインから手を引きデザイナーチームが引き継いでいたそうです。現在はブランドだけではなく業界から引退しています。ジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブディレクターとして就任した2014年以降は、ブランド名の変更や新コレクションラインの定義などブランドとしての成長が伺えます。メゾン・マルジェラはマルタン・マルジェラ氏がジャン=ポール・ゴルチエから影響を受け型破りな発想と既成概念を覆すアプローチを基本理念としています。わかりやすい代表的な例を挙げるとインサイドアウトという技法があります。ファッション用語におけるインサイドアウトとは、通常は内側に来る仕様をあえて表側に採用しデザインとして表現する技法のことを指します。メゾン・マルジェラにおけるインサイドアウトと言えばカレンダータグが最たる例かもしれません。
修理リペアの実例概要
MM6は従来のメゾン・マルジェラに比べカジュアルでリーズナブルなブランドで、登場以来若者たちに人気を博しています。今回お預かりしたバッグはMaison Margiela(メゾン・マルジェラ)のショルダーバッグ(カメラバッグ)Glam Slam(グラム スラム)です。グラム スラムは中綿が入っているふっくらしたシルエットとキルティングが特徴のラインです。2018年のコレクションで初登場し、現在ではメゾン・マルジェラのアイコンとして人気を集めています。こちらのカメラバッグは柔らかなナッパレザーが中綿を包み、滑らかなでふんわりとした手触りが非常に心惹かれるデザインです。ころん、としている様子も非常に魅力的ですね。カメラバッグと称されてはいますが、中は広く、開口部も大きく開くためとても使い勝手の良いバッグです。上品かつ個性を主張するその様子はまさにメゾン・マルジェラの作品だと言えます。グラムスラムは現在でも新作が出続けており、キルティングの目が細かいものも登場しています。キルティングはフランスのマルセイユで生まれた手縫いスタイルを採用しているようです。
さて、今回REPAIRーSHOP HIRAISHIYAがご依頼をお引き受けしたのはMaison Marugiela(メゾン・マルジェラ)のGlam Slam(グラム・スラム)ショルダーバッグ(カメラバッグ)の根革交換です。根革とはバッグ本体とショルダーベルトや持ち手等の間にある革のことで、今回はショルダーバッグの金具を取り付けるDカンが付いている黒い革が破損してしまっていました。根革を交換する際にはまず現在取り付けられている根革取り外します。取り外した革から型紙を起こし、予め用意しておいた色や質感が似ている革から切り出します。そうして新しい根革をもとの位置に取り付けることによって根革交換が完了します。特徴的なナッパレザーの印象を違えないよう、素材選びには慎重を期します。根革は持ち手と本体の間にある支点であり、バッグなどにおいては負荷のかかりやすい部位に入ります。そのためどうしても壊れやすく、壊れると使用する事が出来なくなってしまう非常に重要なパーツです。出かけていて突然千切れたり壊れたりしたら困りますよね。
普段愛用しているものなら尚更です。大切に使っているから大丈夫と思われるかもしれませんが、大切に使っているからこそ、たまに状態の確認をしてみることをオススメいたします。こちらの写真がGlam Slam(グラム・スラム)ショルダーバッグ(カメラバッグ)の根革交換が完了した状態です。綺麗に修理されていますね。バッグやお財布で気になっている部分があるけど値段が気になる、修理跡が残らないか不安、など心配を抱いている方もいらっしゃることでしょう。REPAIRーSHOP HIRAISHIYAではご注文の前にそういった不安に寄り添えるよう事前相談サービス「無料カウンセリング」をご用意しております。気になっている点とお写真をお送りいただくだけでおおよそのお見積り金額とどのようなリペア内容になるのか診断し、丁寧に回答させていただきます。ちょっとしたことでも気になっていることがあれば是非ご活用くださいませ!今回はMaison Margiela(メゾン・マルジェラ)のGlam Slam(グラム・スラム)カメラバッグの根革交換をご紹介させていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。