2025/07/21

その他修理リペア

Valentino補色修理

こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYAがご紹介するのはValentino(ヴァレンティノ)の ショルダーバッグ(Vロゴ)の補色修理です。Valentino(ヴァレンティノ)はヴァレンティノ・ガラヴァーニとジャンカルロ・ジャメッティが1960年にイタリア・ローマで立ち上げたブランドです。伝統と革新を融合させ、美の感覚を生み出すクリエイティブな世界へ意識を向け続けることによってラグジュアリー業界における役割を担っています。ブランドとしての世界的なデビューはピッティ宮殿(イタリア・フィレンツェにあるルネサンス様式の宮殿)で行われました。そのファッションショーはヴォーグ誌を含む人々の注目を集め、なんとショーの1時間後にはコレクションの全てが完売したことが公表されています。以降、Valentino(ヴァレンティノ)の顧客リストには著名人が並ぶこととなります。1971年に拠点をミラノへ移し、その後他社とのコラボレーションを経てプレタポルテラインの立ち上げに成功します。1998年以降は社の売却や紆余曲折の末現在に至ります。ブランド戦略として、プレタポルテからのディフェージョンラインとしてヴァレンティノ・ローマ、レッド・ヴァレンティノが登場します。ヴァレンティノ・ローマはValentino(ヴァレンティノ)が持つブランドの特徴を保ちつつ、従来よりも低価格帯で売り出した女性向けのラインです。レッド・ヴァレンティノはヴァレンティノ・ローマよりもよりカジュアル、かつフレッシュさを演出したデザインで展開し、様々なコラボレーションを経て遊び心やロマンティックを生み出してきました。(ヴァレンティノ・ローマは2024年を持ってラインを終了しています。)ヴァレンティノ・ガラヴァーニ以降のクリエイティブデザイナーは、アレッサンドラ・ファチネッティ(2007~2008年)、マリア・グラツィア・キウリ(2008~2016年)、ピエール・パオロ・ピッチョリ(2008~2024年)、そして2024年からはアレッサンドロ・ミケーレが努めています。アレッサンドロ・ミケーレはFENDI(フェンディ)から始まり、GUCCI(グッチ)を経てValentino(ヴァレンティノ)のクリエイティブディレクターへ就任した経歴を持っています。彼は父親の影響でよく美術館や博物館へ連れて行ってもらっていたそうで、そのおかげか幼い頃からファッションへの強い関心があったようです。

修理リペアの実例概要

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アレッサンドロ・ミケーレは「服は歴史的文脈が無ければ無意味」と言うほどデザインへのストーリーを重視しているそうです。ピッティ宮殿という歴史的価値のある場所からファッションショーを通して世界得へ躍り出たValentino(ヴァレンティノ)の新しいクリエイティブディレクターとしてのデビューショーはパリで開催されました。フリルやレースがふんだんに使われた流動の美しいドレスや、民族衣装を連想させるテキスタイルを組み合わせたロマンティックな衣装がランウェイを飾りました。その中にはValentino(ヴァレンティノ)の伝統であるヴァレンティノ・レッドと呼ばれる赤いドレスも並んでいました。ヴァレンティノ・レッドは先にご紹介したREDValentino(レッド・ヴァレンティノ)とは別物です。ヴァレンティノ・レッドはヴァレンティノ・ガラヴァーニが発表したとある時期のコレクションから伝統的に出されている印象的な赤色のドレスのことを指しています。鮮やかでありながら強烈さは無く、どことなく夜の優しさを思わせる柔らかさを持つ赤色は、流れる生地に乗って見る人の心にすっと入り込むようです。

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今回、REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでお預かりしたValentino(ヴァレンティノ)の ショルダーバッグ(Vロゴ)にも少しだけ赤色が使用されています。ホワイトレザーにポツンと浮かぶ赤色は本来のヴァレンティノ・レッドとは異なる色かもしれませんが、Valentino(ヴァレンティノ)における「赤色」の意味を知っていると特別なもののように思えますね。これがアレッサンドロ・ミケーレの言う歴史的文脈のひとつともとらえられるかもしれません。反対側の面にはシグネチャーのVロゴが全面にあしらわれています。Valentino(ヴァレンティノ)のVロゴは1968年頃に登場しました。Valentino(ヴァレンティノ)のバッグにはこのVロゴの主張が強いデザインも多く見られます。SNSが流行し始めてからはパッと目を惹くロゴで目立ちたいという若者も増えたそうです。今回のご依頼品のバッグはサイドが丸く、Vロゴの形に添ってデザインされたものです。シルエットそのものがシグネチャーロゴになっていますが、ロゴそのものは革の隆起で表現されているためしつこさは感じられません。さりげない主張が上品さとラグジュアリーを演出しています。

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さて、今回のご依頼はValentino(ヴァレンティノ)の ショルダーバッグ(Vロゴ)の補色修理です。写真にもある通り、革の表面が擦れによって剥げてきています。Vロゴが革の隆起で表現されているため従来の面よりも出っ張っており、必然的に外部と擦れる機会が多くなって擦れることによってこのような色剥げが起こります。デザイン的に避けられない症状だと言えるでしょう。もしこのVロゴが無かったとしても、バッグの角周りはどうしても擦れによる色剥げが起きます。色剥げが起きる箇所は擦れが起こりやすい箇所でもありますので、そのまま放置すると革そのものが擦れていき、最終的には穴が開いてしまいます。穴が開いてしまった場合、バッグの構造や素材によっては修理をすることが難しくなることもございます。そのため色剥げが悪化する前に補色修理やコーティング等でお直しすることをお勧めいたします。補色修理を行う際には、必ずクリーニングから始めます。革の表面が汚れていると色の定着が悪くなり、そこから色が剥がれてしまう可能性があるからです。ブラッシングで丁寧に革表面のホコリや塵を取ったら、素材に合わせた洗い方で綺麗にしていきます。

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クリーニングが終わったら剥がれそうな色の層も剥がしていきます。そうして新たな色の層が定着する状態を作ったらやっと補色作業開始です。できる限り元の色と同じに見えるよう慎重に色を作成して染めを行います。今回のご依頼品はホワイトですが、単にホワイトと言っても絶妙に色味がことなることがほとんどです。そういった点も考慮しながら色ムラや筆の跡などが出ないように仕上げたら、最後にトップコートをかけて補色を行った部分を保護したら完成です。写真の通り、擦れて剥げていた部分が無くなって均一な白色になっていますね。さて、今回はValentino(ヴァレンティノ)のショルダーバッグ(Vロゴ)の補色修理について、Valentino(ヴァレンティノ)の歴史を絡めながらご紹介させていただきました。最後までお読みいただきありがとうございます。気に入っているバッグがあるけれど色剥げが気になって使えていない、擦れていた箇所がだんだん薄くなっている気がする、など、擦れや色剥げに関するお悩みがございましたら是非REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)の事前相談サービス「無料カウンセリング」にご相談してみてくださいね。皆様のご利用を心よりお待ちしております。