それでは、REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)へ修理のご依頼をいただいたショルダーバッグを見ていきましょう。こちらが今回お預かりしたシタダンです。このシタダンのバッグに使用されている内装生地によく見られるのが、使用しているうちにバッグ内側の接着剤によってべたつきが出てきてしまう症状です。初期段階の症状としては主に、周りの縫い目付近の生地からべたつきが始まり、その後だんだんとべたつきの範囲が広くなっていき、バッグ内側や外ポケット内側全体的なべたつきが起こります。今回ご依頼いただいたバッグは全体的にべたつきが広がっていましたので、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のブランドタグ周りの内装の色が濃くなっているのが分かるかと思います。べたついている生地は通常の薄緑色の内装生地から濃い色へと変色しますため、見た目の変化も随分と変わるような印象がありますね。このようにべたつきが出てしまった内装はクリーニングでべたつきを落とすことは難しいため、弊社では内装張替をすることによって修復を行います。
2023/11/07
ルイヴィトン修理リペア
内装張替修理
こんにちはREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)でご紹介するのは”ルイ・ヴィトン ダミエ・ジェアン シタダン”の内装張替修理のご依頼です。「ダミエ」というラインは歴史がかなり古く、1888年に生み出されたと言われているラインです。ダミエはフランス語で「市松模様」という意味があり、2色の格子柄でデザインされた特徴的なコントラストが魅力的です。ダミエラインは現在までに様々な人気ラインが生み出されており、誕生当初のカラーリングである茶色系のコントラストの「ダミエ(エベヌ)」を筆頭に、ホワイト系の「ダミエ・アズール」やブラック系の「ダミエ・グラフィット」また、高級感のあるトリヨンレザーを使用し、ダミエ柄を色ではなく型押しでデザインした「ダミエ・アンフィニ」など様々なデザインが生み出されています。このように様々なデザインが生み出されていることから、ダミエというラインは現在ではLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の顔であるモノグラムに匹敵するほどの人気を持つ定番のラインとして君臨していることが分かりますね。その中でも今回紹介するのは、2004年に登場し、歴史あるダミエデザインを大胆に拡大した「ダミエ・ジェアン」です。通常のダミエデザインは細かい格子柄になっていますが、ダミエ・ジェアンに関しては格子柄が通常のダミエの柄の数倍にもなる大きさとなっているのです。ダミエ柄を大きくすることによってシンプルで落ち着いた印象になり、カジュアルでありながらシックでモダンなデザインへと変貌を遂げました。また、もう一つの大きな特徴としては、強化ファイバーを用いた高度な製織技術により、従来よりも軽量化されなおかつ耐久性に優れた丈夫な生地を実現させているという点です。金具部分にも軽量な素材であるアルミニウム性の金属を使用しているため、さらに実用的なラインになっているように思われます。生地を軽くて丈夫なものにすることによって、ビジネスバッグや、レジャーバッグ、旅行の際に大活躍するトラベルバッグなど、数多くのシーンに対しての実用性が考えられたラインになっています。
修理リペアの実例概要
その内装張替の時に使われるのがシャンタン生地という生地です。シャンタン生地とは生地の表面に横方向の不均一な筋がある平織りの生地で、たて糸には生糸横糸には玉糸を使うことによって生地に独特の横筋があらわれています。シャンタンという名前は中国の山東(シャントン)が由来とも言われており、山東(シャントン)は絹の産地であることからシャンタン生地はもともと絹(シルク)の織物のことを差していました。現在ではシャンタン生地に使われている生地は絹以外にもコットンやポリエステルなど、さまざまな素材が使われていますので、使われている素材によってシャンタン生地の風合いは多少異なってきます。シャンタン生地の特徴としましては、軽くて丈夫でハリがありますが、とてもしなやかできしむような独特な素材のものとなっています。また、程よい光沢感があり上品な高級感があることからウェディングドレスやジャケット、ワンピースにも使われています。弊社の修理でシャンタン生地を使う際はまず、財布やバッグなどどのようなアイテムに使用するのか、そのアイテムの雰囲気は上品なものかカジュアルなものかによってシャンタン生地の風合いを合わせています。
こちらが内装張替が完了した修理箇所を近くから見た写真です。Louis Vuittonのブランドタグは再度取り付けを行い、オリジナルはそのまま残しつつもべたつきが無いきれいな内装へと生まれ変わることができました。内装張替をする場合は一度バッグ全体を分解する必要があり、その後内側のべたついている生地を取り除いて新しくシャンタン生地から切り出した内装を取り付けます。縫い付け作業はただ単純に縫い付ければ良いとは限りません。元々のステッチ位置に合わせて新しい生地を縫い付けることはとても繊細な作業となり、少しでも生地がずれてしまうと全体的な内装のずれが生じてしまいます。また、表側のステッチ位置と裏側のステッチ位置の両方の位置を合わせることは長年の経験を積んだ職人さんならではの技術です。さらに、分解の工程で一度縫い目をほどく時に内装以外の部分が劣化している場合、その部品の再利用ができないということも起こります。内装張替のみを行う場合でも、このように別の部品との兼ね合いによって修理箇所が変わってしまうこともあります。今回のバッグは内装以外の劣化は見られなかったので無事に内装張替を行うことができました。
今回ご依頼いただいたダミエ・ジェアンは非常に人気なラインです。現在は惜しくも廃盤となってしまいましたが、カジュアルで実用的なラインであることから廃盤となった今でも根強い人気が残っています。廃盤となってしまったものでも、こうして内装を新しい生地に張り替えることで新品同様のショルダーバッグに蘇ることができました。このような内装張替に使うシャンタン生地は、基本的にはできる限り似たような色のシャンタン生地へ張替えを行いますが、生地の色味を元々の色味とは別の色にしたい場合はお客様のご希望に添った色への交換もできる限り対応させていただきますのでお気軽にご相談くださいませ。以上で、今回の修理内容のご紹介を終わらせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)では、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の正規店では断られてしまった修理内容もお受けできる場合がございますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。