では、早速今回お預かりした「ルイ・ヴィトン スピーディ 25モノグラム」を見ていきましょう。こちらのボストンバッグはコンパクトながらも収納力のあるバッグで、ちょっとしたお出かけにも最適なバッグです。サイズ展開は幅広く揃えており、こちらの”スピーディー25”はシリーズの中でも二番目に小さなサイズのボストンバックとなっています。今回お預かりしたお品物が横幅25cmとなり、5cm刻みに幅広いサイズ展開がされています。ルイ・ヴィトン公式サイトでは一番小さな”スピーディー20”から”最大”スピーディー40”までが標準サイズとして取り揃えられています。最近ではキャッシュレスサービスが増えた事もあり、長財布よりも小さな財布が主流となっていて、比例して今回のような小さなサイズのバッグが再度注目されてきています。こちらのスピーディー25はベーシックなデザインで15年以上前に購入されたという事で、大切に使っていても所々経年劣化が見られる状態でありました。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは修理やリペアを通してお客様が長くお使い頂けるよう、お客様のご希望に寄り添った形でご対応させていただきます。
2024/07/09
ルイヴィトン修理リペア
LOUISVUITTON耳革交換修理
今回ご紹介するLOUISVUITTON(ルイ・ヴィトン)のバッグはブランドの代表とも言えるモノグラムラインです。お客様からご依頼のあった修理内容としてはバッグファスナーの端に付けられている”耳革”であるヌメ革の修理をご依頼頂きました。お預かりしたこちらのハンドバッグは、「ルイ・ヴィトン スピーディ 25モノグラム」です。1930年代に、ボストンバッグを日常で使用できるように、コンパクトサイズに改良された”エクスプレス” というバッグが発売されました。その 「エクスプレス」 がスピーディの原型になっています。つまり、スピーディの起源は1930年代まで遡り、半世紀以上も発売されている定番人気のアイテムといえます。今回ご依頼のあった”ヌメ革”はこまめな手入れが必要で経年劣化がしやすくルイ・ヴィトンでは多くご相談をいただく修理内容です。そしてルイ・ヴィトンといえばこちらのモノグラムを想像する方も多いのではないでしょうか?このルイ・ヴィトンのモノグラム柄の歴史は長く130年近い歴史がございます。ルイ・ヴィトンは1854年にパリのヌーヴ・カプシーヌ通り4番地でトランクの専門店として開業しました。当時の移動手段が鉄道から馬車になり、現代では自動車にシフトしていく中でトランクの形も変わっていきました。創業当時のルイ・ヴィトンの人気商品はもちろん旅行用のトランクで、現代のような先進技術がなかったにも関わらず当時では非常に珍しい防水仕様になっていて中の衣類を濡らすことがなかったそう。斬新なデザインに確かな機能性は当時の人達の心を掴んで離さなかったそうです。創業者であるルイ・ヴィトンが大切にしてきた芯の部分は現在も受け継がれており、たくさんの人を魅了してなりません。そして、進化を恐れないルイ・ヴィトンは1997年に当時人気上昇中だったNYのデザイナーである「マーク・ジェコブス」をディレクターへ就任させた事により、新たな客層を取り入れることに成功しました。この辺りが幅広い年代がルイ・ヴィトンを知るきっかけになった年ではないでしょうか。現在も世間に影響のあるアーティストとコラボするなどし、日本でも知らない人はいないであろうブランドまでに成長しました。ルイ・ヴィトンのスピーディーは様々なサイズ展開と限定デザインなどがあり、知っていく程に面白い作品のひとつです。そんなお話も交えながらご紹介していきましょう。
修理リペアの実例概要
修理内容はちぎれてしまった”耳革の交換修理”です。ルイ・ヴィトンの側面には耳革がついていることが多いのですが、耳革はこまめな手入れが必要とされる”ヌメ革”で作られており、手入れ次第では革は10年以上もつと言われていますから綺麗な状態を長く保つことが出来るでしょう。ルイ・ヴィトンの修理を長年扱ってきたREPAIR-SHOP HIRAISHIYAはヌメ革の知識にも自身があります。修理内容は耳革である「ヌメ革の交換修理」です。ヌメ革とは、タンニン鞣(なめし)され、表面加工を行なっていない革のことを言います。 ほとんどの革は鞣(なめし)という工程に合わせ着色や表面加工(コーティング)を行いますが、ヌメ革は表面加工を全く行なっていないため、本革本来の匂いや手触りを感じることができ、エイジングを楽しむことができる、とても魅力的な革です。このヌメ革を同じ形、サイズに切り出して修理を行っていきます。交換する部分のヌメ革のサイズで料金が変わってきます。革は弾力と厚みがあり切り出しが大変な素材です。ルイ・ヴィトンの耳革はパーツ自体が小さいため、いちから作るとなると繊細なテクニックが必要となり難しい修理となっています。
こちらが修理箇所である”耳革”のお写真です。本来、耳革には穴が空いておりパドロックという南京錠が付けられています。スピーディーのような小さなバッグに鍵が必要かということもありますが、その昔に自分でバッグを持つことをしなかった時代の名残と言われています。実際、現代ではルイ・ヴィトンのパドロックはアクセサリーのように耳革へ付けたままお使いになる方が多いと思います。しかし、このパドロックは真鍮で作られていて重さもそこそこあるので今回のようにヌメ革がちぎれてしまうことも。ヌメ革は経年変化を楽しめる革好きには魅力のある革なのですが、一方で革を良く知らない方には色が変わるし、水にも弱くて扱いにくいと感じる方もいるでしょう。ヌメ革交換の修理で注意をしなければいけないことが主に2点ございます。ひとつはヌメ革は経年変化を楽しむ革とお伝えしたように使い込んでいくと徐々に飴色へと変化していきます。5年かけて飴色になった所の一部を新しいヌメ革にすることで色の統一感が無くなってしまうということ。もう一つは糸を解き古いヌメ革を取り除く際に同じ場所のパイピング部分も劣化していて再利用が出来ない可能性がある。ということです。
パイピング部分も同じ年数、経年劣化をしていますから”耳革”が劣化している場合にはパイピング部分も交換になると思っていただいた方が良いかもしれません。デリケートなヌメ革は水に濡れてしまった場合シミや水ぶくれができてしまいます。ひどいときにはカビが発生する事も。日常的なケアをしてヌメ革の経年変化(エイジング)を楽しみましょう。普段のお手入れはそこまで難しいものではありません。水濡れに注意して扱い、表面のホコリを取るだけで十分です。ヌメ革の表面が乾燥してきたと感じたら、数ヶ月に一回程度のペースで革専用のオイルやクリームでケアするのがおすすめです。万が一、水に濡れてしまった場合の対処法としてはできるだけ早く水分を拭き取り、風通しの良い日陰で乾かしてあげましょう。乾いた後にオイルやクリームでケアすればシミがひどくなることを防げます。日頃から革用の防水スプレーで対策をしておくこともおすすめですよ。今回は高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYAで行っているヌメ革の交換修理についてご紹介してきました。革の修理のご相談は公式サイトまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。