イヴ・サン=ローラン氏は「モードの帝王」と呼ばれており、今もなおファッション業界に大きな影響を与えています。ファッション用語における「モード」とは「ハイブランドが発表する最先端のデザインやトレンド」のことを指します。新しいデザインを生み出すだけでなく、それをスタイルとして確立させた偉大な人物と言えるでしょう。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)でお預かりしたSaint Laurent Paris(サンローラン・パリ)カサンドラ エンベロープ(チェーンウォレット)はそんなイヴ・サン=ローラン氏への敬意を表したラインの一つです。Yves Saint Laurent(イヴサンローラン)は非常に美しいシルエットが特徴でもありますが、それはSaint Laurent Paris(サンローラン・パリ)にも受け継がれています。等間隔でステッチの入ったレザーはふっくらと丸みを帯び、控えめな光沢のブラックレザーとシルバーのチェーン、YSLのロゴが全体のスタイルを引き締めています。上品で美しいデザインはパリの夜をイメージさせ、今にも揺れるチェーンとハイヒールの音が聞こえてきそうなほどです。中はファスナー付きのコインケース、カードポケットに複数のコンパートメントが付いており、実用性も兼ね備えています。
2025/06/16
その他修理リペア
Saint Laurent補色修理
こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回、高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店であるREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)でご紹介するのはSaint Laurent(サンローラン)カサンドラ エンベロープ(チェーンウォレット)の補色修理です。サンローランはイヴ・サン=ローラン氏と資産家のピエール・ベルジェ氏によって創設されたファッションブランドです。創設当初はデザイナーの名前であるYves Saint Laurent(イヴサンローラン)という名称でしたが、イヴ・サン=ローラン氏の死後、彼への敬意を持ってオートクチュール部門に幕を下ろしました。現在は既製服を販売する「サンローラン・パリ」と化粧品を販売する「イヴ・サンローラン・ボーテ」を展開しています。今回ご依頼のあったチェーンウォレット カサンドラは2019年に登場したラインで、ロゴに起用した「YSL」はイヴ・サン=ローラン氏への敬意が込められています。イヴ・サン=ローラン氏はフランス領アルジェリアのオランという街に生まれます。裕福な家に生まれた彼は幼いころからファッションに興味を持ち、父親に買って貰った様々な国の図鑑などからファッションへの着想を経ていきました。18歳でパリへ移住し、服飾を専門とする学校へ入学。同年、IWS主催デザインコンクールのドレス部門で最優秀賞を受賞しています。翌年には彼のポートフォリオを見たヴォーグ誌の編集長が友人であるクリスチャン・ディオール氏へ彼を紹介し、ほどなくしてイヴ・サン=ローラン氏はディオールへ入社することとなります。ディオール氏の死後、ディオールの主任デザイナーを任されたイヴ・サン=ローラン氏はコレクションにてトラペーズ・ラインを発表し、大成功をおさめます。その後5つのコレクションを発表し、徴兵や闘病など紆余曲折を経て1961年にオートクチュールメゾン「Yves Saint Laurent」を創設しました。彼は様々な国をイメージしたコレクションを発表していますが、そのほとんどの国へ赴くことは無く、図鑑や資料からインスピレーションを得たものだといいます。当記事の筆者は2023年に国立新美術館で開催された企画展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」に足を運びましたが、多種多様の国をイメージさせる衝撃的なコレクションと、洗練されたシルエットや美しさが際立つシンプルなプレタポルテに驚いたものです。
修理リペアの実例概要
今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)が起き受けしたSaint Laurent Paris(サンローラン・パリ)カサンドラ エンベロープ(チェーンウォレット)の補色修理は、両サイドの擦れがメインでした。チェーンが当たる両サイドの縁はどうしても擦れてしまい、結果的に色剥げが起こりやすいです。革にはシボと呼ばれる独特の皺があります。革の質感として重要な要素であるそのシボを残すため、ほとんどの革は色の層やトップのコーティングがそこまで厚くありません。これらを厚くしてしまうとシボが消え、ツルリとした質感になってしまうからです。サンローラン・パリのチェーンウォレットも同様です。そのため擦れが起こるとコーティングや色が剥げてしまい、革の地の部分が見えてきてしまう、という仕組みになっています。擦れは革の表面が削れているとも言い換えられます。擦れが悪化する、つまり削れの深度が深くなるとその部分の革は無くなっていってしまいますので、バッグ全体の傷みに繋がります。人によって擦れが気になるかどうかは程度によると思いますが、形が変わってくる前にお直しすることをお勧めいたします。
擦れによる色剥げには補色修理を行います。色を塗るためにはまず表面をきれいな状態にしなければなりません。そのため全体のブラッシングでホコリや塵を取り除き、それでも取り切れなかった汚れ等をクリーニングで落とします。その後は染めの前処理を行い、顔料で全体を染め、トップコートをかけて十分乾燥させたら完成です。染めを行う際には十分なクリーニングが欠かせません。ホコリや汚れが残った状態でその上から染めを行うと上手く色が定着しないばかりか、その部分から色が剥がれていってしまう可能性がございます。そのためREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは染めを行う場合はクリーニングとセットでご用意させていただいております。仕上げのトップコートでは全体の光沢感にもムラが出ないよう注意を払い、最後には金属パーツも磨いて余分なコーティングは取り除いています。お客様のお手元に完成品が届いた時に思わず感動していただけるような仕上がりを目指し、細部まで“綺麗”が行き届くよう注意を行っています。修理前と修理後のお写真も撮影しております。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAのInstagramではご依頼品のbefore&afterの写真を見ることができますので、ご興味がありましたら覗いてみてくださいね。
さて、今回は高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店であるREPAIR-SHOP HIRAISHIYAがSaint Laurent Paris(サンローラン・パリ)カサンドラ エンベロープ(チェーンウォレット)の補色修理についてご紹介させていただきました。美しいスタイルを突き詰めるサンローラン。その魅力についても知っていただけたのではないでしょうか。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではお客様の様々なご質問、ご不安に応えるべく事前相談サービス「無料カウンセリング」を実地しております。誰もが知るハイブランドから工房のオーダーメイド品まで幅広く承っております。ご相談の内容も様々で、今回の様なチェーンによる擦れが原因の色剥げのご相談や、長年放置してできたカビの除去、飲料を溢してできたシミの除去、果てにはペットに齧られてしまった跡の修理などもございます。届いたご相談は1件ずつスタッフが確認し、最適な修理方法とお見積もり金額をお出しして回答をいたします。回答方法はメールとお電話どちらでも承っております。お客様ご自身で都合の良い方法をお選びいただけます。バッグやお財布の困ったことで諦める前に、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。