2025/08/25

エルメス修理リペア

Hermès補色修理

こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回、REPAIR-SHOP HIRAISHIYAがご紹介するのはHermès(エルメス)のバーキンバッグの補色修理です。Hermès(エルメス)は1837年にテュエリー・エルメスがパリに開いた馬具工房から始まったブランドです。当時はナポレオン3世やロシア皇帝を顧客に持っていました。1867年のパリ万博で女性用の鞍を出し銀賞を受賞しましたが、テュエリー・エルメスは金賞にこだわり1878年に行われるパリ万博へ向けて製作を進めていました。しかし万博の3カ月前にテュエリー氏は死去。息子のシャルル・エミール・エルメスによって出品された鞍は見事金賞を受賞しました。その後、3代目であるエミール=モーリス・エルメスが自動車の普及を感じ取り、レディース革製品やバッグ等の製作に取り組んでいくこととなります。1970年代からはライセンスビジネスが流行しましたが、Hermès(エルメス)はブランド価値を守るため現在に至るまで一切のライセンスビジネスを行っていません。また、コングロマリットによる買収も避け続けておりブランドを守るということにおいて強固な姿勢を貫き通しています。事実、Hermès(エルメス)が1980~1990年代にかけて次々と買収した会社も社の発展というよりは職人やその技の保護・維持を第一の目標としていたようです。他の介入を受け付けないことで自社が掲げるクオリティとブランド価値の維持を実現し続けているHermès(エルメス)は現代では非常に稀有な存在ともいえるでしょう。さて、ここからはHermès(エルメス)のバッグについて見ていきましょう。Hermès(エルメス)で製作された最初のバッグはサック・オータクロア(現在は単にオータクロアまたはオタクロワ)という製品です。後のバーキンバッグの原型ともなった台形型のバッグで、元々は乗馬用の鞍とブーツを持ち運べるようにと製作されたそうです。その大容量の収納力から自動車の普及と共にトラベルバッグとしても使用されるようになっていきました。登場した1892年から現在に至るまでその形は変わることがなく、ずっと愛され続けている一品です。そして、Hermès(エルメス)のバッグと言えばこちら、ケリーバッグも非常に有名なアイテムですよね。元々はサドルバッグを女性用に改良して1935年に発表されたものでした。

修理リペアの実例概要

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しかし、1956年、モナコ公妃であったグレース・ケリーがパパラッチを避けるため持っていたこのバッグで赤ちゃんが宿っているお腹を隠した写真が雑誌に掲載され、一躍注目の的になりました。Hermès(エルメス)はモナコ公国側の許可を経てバッグを「ケリーバッグ」と称することとなりました。ケリーバッグは1本ハンドルと両サイドから伸びるベルトで蓋を留められる台形型のバッグです。自立可能なほどしっかりした骨格を持っており、ミニサイズからトラベルサイズまでニーズに合わせたサイズ展開をしています。Hermès(エルメス)独自の製法により確立されているため他社で開いて内側の張り替え等をすることができません。まさにHermès(エルメス)の歴史が詰まったバッグと言えるかもしれませんね。ケリーバッグに並んで人気を博しているのが今回のご依頼品でもあるバーキンバッグです。バーキンが登場したのは1984年、Hermès(エルメス)5代目のジャン=ルイ・デュマ=エルメスとジェーン・バーキン(イギリス出身の歌手)が空港機内でたまたま隣り合ったのがきっかけでした。ジャン=ルイ・デュマはジェーン・バーキンが籐の籠に荷物を詰め込んでいるのを見ました。

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それがきっかけで、彼女は母親になったばかりの自分に合う(ニーズを満たす)ようなバッグが無いとジャン=ルイ・デュマへ溢したそうです。そうして生まれたのがバッグ≪バーキン≫です。丈夫なレザーと幅広の長方形、なんでも詰め込める収納力を備えたサドルバッグ由来のHermès(エルメス)の魂が込められた逸品です。中でも特別なヘリテージ・レザーを用いたバーキンは時を過ごすと艶を帯びてその美しさが増していく特徴を持っています。大切なバッグと共に歳をとっていける素敵なバッグですね。ちなみに、ジャン=ルイ・デュマが最初に描き起こしたバーキンのスケッチには哺乳瓶を入れるスペースも用意されていたそうです。さて、そんなHermès(エルメス)のバッグですが、ご紹介したものには必ずカデナ(南京錠)が付いています。錠があるということは勿論鍵もついていますよね。現在では当たり前に見られるようになったバッグの鍵ですが、鐘型のカバーに覆われたストラップとして付属しているものが多く見られます。実はこの鍵のカバーは≪クロシェット≫という名前がついており、なんとHermès(エルメス)発祥なのです。

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1997年、当時Hermès(エルメス)のデザイナーだったマルタン・マルジェラがケリーバッグについている南京錠から着想を得て製作されたそうです。元からバッグにストラップとして付いているものであればそのまま使用しても良いし、ネックレスとして販売されているものもあります。鍵さえもファッションの一部として取り入れてしまうセンスには脱帽せざるを得ません。さて、ここからは本題である今回のご依頼品、Hermès(エルメス)のバーキンバッグの補色修理について見ていきましょう。ご依頼品のバーキンは元々全体的に白カビが発生しており、特に内側の底面は酷い状態でした。白カビのほとんどはクリーニングをすることで除去可能です。しかしながら、状態が酷い場合は白カビの跡が革に残ってしまいます。写真のバーキンも白カビの跡が残ってしまっている状態です。色の層を侵食していたのでしょう。このような症状の場合、もうクリーニングをしても元の状態に戻すことは難しいです。そのため同色染め・補色修理が必要です。補色修理は一から色を作成しなければなりません。できる限りオリジナルの色と同じに見えるよう慎重に調整しながら色を作成します。

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革の上から色を載せるため多少質感が変わる場合がありますが、艶感などの差やムラが出ないよう十分な注意が必要です。クリーニングをしてしっかりと汚れを落としてから補色作業を行います。汚れの上から色を載せると色の定着が悪くなってしまうからです。ムラ無く綺麗に染めたらトップコートをかけて仕上げを行います。色はアイテム全体の雰囲気を左右する重要な要素です。お手元に届いた時、「綺麗になった!」「見違えた!」そう思っていただけたら嬉しいです。さて、今回はHermès(エルメス)のバーキンバッグの補色修理をご紹介させていただきました。Hermès(エルメス)のブランドを守る力・姿勢には心の底から尊敬の念がわいてきますね。最後までお読みいただきありがとうございました。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店であるREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)では、さまざまな高級ブランドの正規店では断られてしまった修理内容もお受けできる場合がございますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。ご相談は弊社HPの無料カウンセリングからお問い合わせ可能です。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。