2025/10/31

ルイヴィトン修理リペア

LOUISVUITTONサビ除去

こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYAがご紹介するのはLouis Vuitton(ルイヴィトン)のモノグラム・リポーターのバッグです。ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の物語は、19世紀半ば、創業者ルイ・ヴィトンがパリで「世界初の旅行鞄専門店」を開いたことに始まります。17年間の厳しい修行を経て独立した彼は、当時の過酷な旅路から大切な荷物を守るため、平らな蓋を持つ革新的なトランクを発明し、瞬く間に世界的な名声を得ました。しかし、その成功ゆえに、ルイ・ヴィトンのトランクはすぐに模倣品の標的となります。ここで重要な役割を果たしたのが、創業者ルイの息子であるジョルジュ・ヴィトンです。
ジョルジュは、1857年に生まれ、幼い頃から父の工房でトランク作りの技術と経営哲学を学びました。彼は父の死後、1892年にメゾンを継承すると、ブランドを国際的な規模へと拡大させるべく、積極的な改革に乗り出します。彼はトランクの鍵に革新的な「タンブラー錠」を開発し、「どんな鍵にも負けない」と豪語してアメリカの探検家たちにその頑丈さを証明するなど、技術面でも父の精神を受け継ぎました。
そして、模倣品対策とブランドの識別性を高めるため、ジョルジュは1896年に「モノグラム・キャンバス」を発表します。これは、日本の家紋からインスピレーションを受け、創業者のイニシャル「L」と「V」を重ね合わせ、星と花をモチーフとして組み合わせたもので、単なるロゴを超えた芸術的なデザインです。発表から100年以上の時を経ても、そのデザインは普遍的な魅力を放ち続け、現在ではルイ・ヴィトンの象徴として世界中の人々に愛されています。
現在のルイ・ヴィトンにおいても、モノグラムは常に進化を続けています。伝統的なブラウンだけでなく、エンボス加工された「モノグラム・アンプラント」や、コレクションごとに発表される斬新なアーティストとのコラボレーションなど、新しい素材や色、そして形へと絶えず変化しています。モノグラムがこれほどまでに人気を保ち続けているのは、その普遍的なデザイン性とブランドの確かな歴史に裏打ちされた安心感、そして常に時代の最先端のファッションと融合する柔軟性の賜物と言えるでしょう。今回ご依頼いただいた「リポーター」も、そんなモノグラムの伝統を受け継ぎつつ、ルイ・ヴィトンのトラベル・ヘリテージを体現するバッグです。

修理リペアの実例概要

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今回お預かりしたのは、ルイ・ヴィトンのトラベル・ヘリテージを色濃く受け継ぐショルダーバッグ、モノグラム・リポーターです。その名の通り、かつてのカメラマンが使用していた機材バッグからインスピレーションを得た、非常に実用的なデザインが特徴です。 リポーターは、廃盤となった現在もなお、老若男女問わず多くの愛用者に支持され続けているロングセラーモデルです。その人気の秘密は、クラシックさがありながらもそれに反する高い実用性にあります。 最大のポイントは、バッグの内部が二層構造に仕切られている点です。コンパクトな見た目でありながら、荷物を機能的に整理して収納できるため、一方には財布やスマートフォンといった貴重品を、もう一方には手帳や本など、すぐに取り出したいアイテムを分けて入れることができます。この優れた収納力と整理のしやすさこそが、リポーターが長年「使いやすいバッグ」として愛され続けている理由でしょう。 ショルダーストラップ付きで両手が空くため、普段使いはもちろん、旅行先での散策バッグとしても最適です。今回ご依頼いただいたリポーターも、お客様の日常に深く寄り添い、長年ご愛用されていたことが伺えます。

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今回お預かりしたモノグラム・リポーターは、長年のご愛用による全体的なダメージが見られます。バッグ全体には使用に伴うシミや汚れが広範囲に確認でき、モノグラム・キャンバスとヌメ革の持つ美しさが損なわれていました。 最も深刻な症状は、ファスナー部分に集中していました。写真でもわかるように、引手金具と、かみ合わせる歯の部分に青いサビ(緑青)が激しく発生し、ファスナーの滑りが非常に悪くなり、開閉が困難な状態となっていました。特に湿気が多い日本のような環境では、金属パーツのサビは避けられない経年変化の一つと言えます。 ルイ・ヴィトンのバッグに使用されている金具は真鍮などの銅合金が多く、汗や湿気、水濡れなどで放置されると、空気中の酸素などと反応し、緑色のサビ(緑青)が発生してしまいます。これは銅合金の宿命とも言える現象です。緑青自体に毒性はありませんが、放置すると金属表面を侵食し、ファスナーの滑りを悪化させるだけでなく、キャンバスや革部分にも青い色移りを引き起こす原因にもなります。今回は、このサビを除去し、バッグ全体を美しくクリーニングすることが、修理の主要な目的となります。

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ファスナー引手部分の緑青(サビ)は、放置すると開閉に支障をきたすだけでなく、周囲の生地への色移りの原因にもなります。そのため、今回の修理では、このサビを丁寧に取り除き、ファスナーの機能と美観を回復させることに重点を置きました。 サビの除去は、金属パーツを傷つけないよう、すべて職人による手作業で行います。まず、サビの程度に合わせて調合した専用の溶剤を少量使い、細いブラシなどで丁寧に緑青を浮かせ、除去していきます。この作業は、金属の光沢を損なわないよう細心の注意を払いながら、数回に分けて慎重に進められます。 サビを除去した後は、再発を防ぐための仕上げが重要です。金属パーツには、湿気や汗の影響を受けにくくする専用のコーティング剤を塗布し、保護膜を作ります。これにより、ファスナーの滑りが格段に良くなり、サビの再発を大幅に抑制することができます。 また、バッグ全体に見られたシミや汚れについても、素材に適した部分的なクリーニングを施し、バッグの持つ本来のモノグラムの美しさを引き出すよう努めました。金属と生地の両面からメンテナンスを行うことで、モノグラム・リポーターは機能的にも見た目にも蘇ります。

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丁寧なサビ除去とクリーニングによって、開閉を妨げていたファスナーの青サビはきれいに消え、滑らかに動くようになり、全体にあったシミや汚れもすっきり除去されました。モノグラム・キャンバスと金具が持つ美しさが復活したことで、また安心して日常使いしていただけます。 年中湿気の多い日本では、金属パーツのサビは避けられないトラブルです。ファスナーにサビが発生したり、キャンバスにシミができたりしたら、迷わず早めに修理に出すことをお勧めします。ご自宅での保管の際は、時々風を通したり、乾燥剤を入れるなど、湿気を避ける簡単な対策を心がけるだけで、バッグの寿命は格段に延びます。今回はお客様の強いご要望により錆取りを行いましたが、ファスナー交換も承っております。 以上で、今回の高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYAの修理内容のご紹介を終わらせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは、高級ブランドの正規店では断られてしまった修理内容もお受けできる場合がございますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。