2025/12/24

その他修理リペア

BURBERRY補色修理

こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回ご紹介するのは、英国を代表するラグジュアリーブランド、BURBERRY(バーバリー)のビジネスバッグの修理です。
バーバリーの歴史は、1856年に若干21歳の青年トーマス・バーバリーが英国ハンプシャー州で洋品店を開いたことに遡ります。彼は「衣服は天候から人々を守るものであるべきだ」という確固たる信念を持っていました。その哲学が結実したのが、1879年に発明された革新的な素材「ギャバジン」です。当時主流だった重く蒸れやすいゴム引きの防水服とは異なり、通気性に優れ、かつ驚くほどの耐久性と防水性を備えたこの素材は、極地探検家や飛行士、そして軍人たちから絶大な支持を得て、ブランドの地位を不動のものにしました。
第一次世界大戦中、軍の要請を受けて機能性を追求し誕生したのが不朽の名作「トレンチコート」です。そして、ブランドの象徴である「バーバリーチェック」は、1920年代にそのコートの裏地として採用されたのが始まりでした。当初はコートの脱ぎ着の際にちらりと見える、控えめな英国らしい気品を演出するための装飾に過ぎませんでした。しかし、カントリー・タータンを基調としたこの洗練された意匠は、次第に裏地という枠を超えて世界中から注目を集めるようになります。
大きな転機は1960年代のことです。顧客がコートの裏地をあえて見せて着こなすスタイルが流行したことで、バッグや傘、マフラーといったアクセサリー類にもこの柄が広く採用されるようになりました。キャメル地に黒、白、赤のラインが交差するパターンは「ヘイマーケット・チェック」として、こうしてブランドのアイデンティティを象徴する世界で最も有名なアイコンへと進化したのです。
バーバリーのアイテムは単なるファッションの枠を超え、英国の歴史と職人の誇りが詰まった「資産」とも言える存在です。160年以上も愛され続けているのは、品質への妥協なきこだわりがあるからに他なりません。時代が変わっても色褪せない普遍的な美しさを湛えた製品は、適切なケアを施すことで、その価値をより永く保つことができます。今回は、愛用する中で生じた細かな変化を整え、バーバリーの逸品が持つ本来の凛とした表情を維持するための、丁寧なメンテナンスの過程をご紹介します。

修理リペアの実例概要

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今回お預かりしたのは、バーバリーの代名詞であるチェック柄を大胆にあしらった、非常にクラシックな佇まいのビジネスバッグです。 まず目を引くのは、ブランドのアイデンティティを象徴するキャンバス地のチェックパターンです。この洗練された格子模様(チェックパターン)と、ハンドルや四隅に配置された落ち着いたトーンのブラウンレザーの組み合わせは、まさに英国紳士のような品格と誠実さを感じさせます。ビジネスシーンにおいて、これほどまでに存在感を放ちつつも、派手すぎず知的な印象を与えるバッグは他にありません。 各パーツを細かく見ると、堅牢なハンドルや重厚感のある金具、そして底部を補強するレザーの切り替えなど、機能性と美しさが高度に融合していることがわかります。特に、しなやかでありながら適度な厚みを持つ上質なレザーは、使い込むほどに手に馴染み、持ち主と共に時を重ねてきた「信頼感」を演出しています。 長年、大切に使い続けられてきたことが一目でわかる、非常にコンディションの良い一品です。今回は、この気品あふれるバッグの魅力をより永く維持するため、レザー部分を中心に細やかなカラーリペアを施していきます。

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今回お預かりしたバッグは、全体的に大切に扱われていることが伝わる良好なコンディションですが、日々愛用されているからこそ生じる「細かなサイン」が見受けられました。 まず、ブラウンのレザー部分に点在する白っぽい小さな傷跡です。大きな色剥げではありませんが、落ち着いた色味ゆえに、光の加減でこれらの傷が少し浮いて見え、本来の凛とした表情に対して余分な使用感を与えていました。また、バッグの縁を囲うパイピング部分にも擦れが広がっています。この箇所は、バッグ本体を外部の衝撃から守る役割を担っていますが、それゆえに最も摩擦を受けやすく、ダメージが蓄積しやすいデリケートな部分でもあります。 さらに、革全体にはエイジングによる僅かな色ムラも確認できました。これらも含め、傷ついた箇所だけを部分的に補色しようとすると、かえってその部分が周囲から浮いて目立ってしまうリスクがあります。そのため今回は、染めムラを徹底して防ぎ、全体に均一で美しい質感を再現するため、レザー部分すべてのカラーリペアを行うことにいたしました。細部まで一貫した色調を整えることで、新品時のような、あるいはそれ以上に洗練された品格を取り戻していきます。

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今回のカラーリペアにおいて、最も神経を研ぎ澄ませた工程が「マスキング作業」です。全面がレザーのバッグであれば全体を染め上げることに集中できますが、今回はバーバリーの象徴であるチェック柄の生地が隣接しています。この生地に一滴でも染料が付着すれば取り返しがつかないため、作業の成否はこの準備段階における丁寧さに懸かっていると言っても過言ではありません。 まず、レザーと生地の境界線に沿って、隙間が生じないよう慎重にテープを貼り巡らせます。特に曲線を描くパーツや、生地がレザーに重なる複雑な境目などは、指先や道具を使い分けながら、確実な障壁を作り上げていきます。さらに、カラーリペアの作業中に発生する摩擦や塗料の湿度によってマスキングが浮いたり剥がれたりすることがないよう、粘着の固定具合にも細心の注意を払いました。 この徹底した養生があって初めて、バーバリーの落ち着いたブラウンを再現するための繊細な着色作業が可能となります。お客様の大切な資産であるバッグの「守るべき部分」と「整える部分」を明確に分けること。この地道で妥協のない下準備こそが、高級ブランドの品格を損なわずに美しさを引き出す、私たちの修理の根幹です。

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カラーリペアを終えたバッグは、細かな傷跡や色ムラが払拭され、驚くほどすっきりと端正な佇まいを取り戻しました。レザー全体に均一な着色を施したことで、深みのあるブラウンが本来の輝きを放ち、象徴的なチェック柄とのコントラストが鮮明に際立っています。 一度全体の色調を整えることで、ビジネスバッグに不可欠な信頼感が改めて宿ります。手に触れるハンドルの感触や、摩耗が目立っていたパイピング周りも美しく整い、再び第一線で活躍する準備が整いました。リフレッシュされたバッグを手に取るたび、背筋が伸びるような心地よさを感じていただければ幸いです。 お仕事の時間を共に過ごす「相棒」として、このバッグがお客様の毎日をより一層引き立ててくれることを願っております。 以上、BURBERRY(バーバリー)ビジネスバッグの修理紹介でした。最後までお読みいただきありがとうございました。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店であるREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは、お客様の大切な品をより長くお使いいただくための最適な提案をいたします。正規店で断られたケースや、メンテナンスのお悩みなど、まずは一度お気軽にご相談くださいませ。