2022/11/25

シャネル修理リペア

シャネル|バッグ修理

こちらの商品はお客様からお預かりしたシャネルで長年の人気を誇るマトラッセシリーズのチェーンバッグになります。使いやすく人気の23サイズのマトラッセです。ベージュ色が上品でゴールドのアクセントがきいたこちらのマトラッセですが今回の修理内容としましては、ベージュ色の生地がゆえに汚れが目立ちやすく黒ずみが気になるといったご相談でした。このような黒ずみはこちらの品物のようにラムスキンを使用しているお品物ですと良く出てしまう症状です。ラムスキンとは生後1年未満までの子羊の皮をなめした革で 子羊の皮は、サイズが小さく希少価値も高いため、羊革の中で最高級品とされています。 ラムスキンは耐久性も牛革よりは短めですがある程度強く、正しいお手入れをすれば約10年から15年ほどはベストな状態で愛用できるとされております。牛革より格段に柔らかいラムスキンは高級バックに良く用いられ購入したばかりでも手に馴染みやすくバックだけではなくレザージャケットでも最高級品として使用される素材になります。ラムスキンの扱いの難しいところで言えば柔らかいがゆえに傷が付きやすく水にも弱い傾向にあります。ですが、逆に考えるとお手入れさえしっかり行えば柔らかな革がより上品で美しく経年劣化が楽しめる皮革です。乾燥を感じたタイミングで少量の保革クリームを柔らかい布で拭き上げて行くと良いでしょう。固い革では艶を出すためにする磨き上げはラムスキンには刺激が強く劣化してしまう原因になります。優しく均一に保革クリームを塗っていくイメージです。また必要に応じて防水スプレーも効果的ですが逆に劣化を早めてしまうシリコン系のものもあるため、ラムスキンに使う場合には注意してフッ素系の防水スプレーを選ぶようにしてください。ジュースやシミを付けてしまった場合、ご自身で水に浸してシミを目立たなくする方法もありますが、難易度が高すぎるのでその時はプロに相談したほうが安全です。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは安全第一で作業を行っております。素材や性質を実際に確認しカウンセリングした上で安全第一にお客様のご希望にそえられるか社内でしっかり会議をさせていただいております。公式ホームページに記載のないブランドや革製品のご相談もお気軽にお問い合わせください。

修理リペアの実例概要

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こちらがお客様よりお預かりしたマトラッセの修理前の状態になります。お品物を見ていくと大切に扱われていたのでしょう、特に目立った破損もない状態でした。バック本体の色はもともとはホワイトでしたが黒ずみが気になるので全体染めでベージュへのカラーチェンジが今回の修理内容です。当店へのお問い合わせで黒ずみが気になるので汚れを落としてほしいが可能ですか。といったご質問をよく頂くのですが、まずは皮革の説明からさせていただいております。今回のお品物を例にご説明をしますと、黒ずみ汚れに見えるこちらの表面は”劣化による染料の剥離”が症状の名前としては妥当かと思います。なぜならば、革というのは3層に分かれておりもちろん初めからお品物のような色をしているわけではありません。表面を塗料で加工したものを素材として使っているのが今回のようなハンドバックです。お写真の黒ずみと思われる箇所をよく見て頂くと分かるのですが、ザラつきがあり元の革の素材が出てきていることが分かります。これではいくら表面をクリーニングしたところで元の状態には戻りません。表面の塗装が剥離しているからです。他の状態も見ていきましょう。

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続いてチェーン部分のお写真です。こちらも一見すると汚れにも見えますが本体よりは軽度の剥離と判断させていただきました。このような全体的に剥離が起こっているような場合にはクレンジングで綺麗にした後全体染めをご提案しております。今回全体染めご提案させていただいた時にご説明として白から白へ染めるというのは難易度が高くリスクもあるという方もご説明した上で、全体をベージュ色へ染め替えるといった修理内容となりました。当REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではお客様の大切なお品物の作業に入る前にしっかりとカウンセリングを行いますのでご安心ください。もちろん金具から革紐を取り出し、紐の部分も同じ色で全体染めを行います。紐部分の剥離は部分的ではありましたが、すべてを染め上げて違和感のない仕上がりしていきます。革製品を染め上げるまでチェック等も含め細かい過程がたくさんありますが一つでも欠けると仕上がりに影響が出てしまいます。ある一定のお時間を頂くことをご了承頂き修理作業をさせていただいております。

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こちらが今回仕上がったお品物になります。お色味は最も重要なポイントです。お客様と打ち合わせをした際に好みを聞き取り、とても綺麗なお色に仕上げることができました。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは革の知識をもった皮革修復士が革のベースの色を考慮した上で一から色を作って行きます。この元の革の色を考えないで色を作ってしまうと実際に革に乗せたとき出てくれる色味が全然変わってきてしまいます。こちらは経験を積み革の知識がなくしては出来ない工程になりますのでREPAIR-SHOP HIRAISHIYAの強みだと思っております。今回は一般的なベージュ色よりも少しトーンダウンし、ホワイトを少し効かせた温かみのある現代風の上品なベージュ色に仕上げました。今回のメインは全体の染め替えでしたが、金具部分やバック本体の中のクリーニングもしっかり合わせて行いますので新品のような仕上がりになりお客様にも喜んでいただけたかと思います。高級バックは長持ちで世代を超えて受け継がれる方もいらっしゃいます。色替えやその他補修もご相談承りますのでお気軽にお問い合わせください。ご要望をお聞きした上でご提案させていただきます。

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チェーン部分も代わりの効かない部分になりますので破損しないよう気を使いながら外していきました。チェーンと紐部分を解体して染め直しをしたため、このように綺麗な仕上がりとなりました。金具部分はクリーニングをし磨き上げたため、クリーニング前よりも輝きを増すことが出来ました。今回ご依頼いただいたシャネルのマトラッセは製品の特性上トップにコーティング処理がされていない柔らかい最高級素材のラムスキンとなり特に傷が付きやすくお手入れが必要なお品物になります。シャネルのマトラッセには牛革出できたキャビアスキンという比較的お手入れしやすい皮革のタイプもございますが、希少価値が高く柔らかい風合いのラムスキンには根強いファンも多くいらっしゃいます。皮革製品は大切に扱っていても生き物と同じで劣化していくのは仕方のないことです。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではそんな大切にしているバックや財布などのお直しを承っております。自分では手に負えなくなった、正規店で断られてしまったお直しもご提案できる場合がございますのでまずはお問い合わせください。