2022/12/19

ルイヴィトン修理リペア

ファスナー修理

こちらは先日お預かりしたルイ・ヴィトンのダミエの長財布になります。このタイプの長財布はラウンドファスナーといい三方向をぐるっとファスナーで囲った収納力の高い長財布に使われるデザインです。修理内容としてはファスナーの引手部分(スライダー)が折れてしまい開け閉めができなくなってしまい困っているといったご相談内容でした。ルイヴィトン修理専門店である当REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではダミエの修理、リペアも数多く取り扱っています。ルイヴィトンのダミエラインは1888年に誕生したデザインで長い歴史があります。フランス語で「市松模様」という意味があり、ベージュとこげ茶色の四角形が交互に配列されています。シンプルながら存在感のあるデザインは、男女問わず幅広い年代から愛されており、いまではルイヴィトンを代表するラインの一つです。ダミエには今回お預かりしたお品物と同じ「エベヌ(Ebene)」がベーシックで有名ですね。エベヌ(Ebene)は、フランス語でカキノキ科の常緑樹「黒壇(コクタン)」という意味です。ダミエといえば茶色い市松模様を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はダミエには他にも様々なラインがあり、ホワイト系でダミエ アズールとブラック系のダミエ グラフィットといったものもあるんですよ。どれも日常使いしやすい色使いで、それぞれまったく異なる雰囲気となっています。ルイ・ヴィトンは1854年の創業当初から現代に至るまで、多くのファンを虜にし人気を博してきました。それが故に新しいデザインが出るたびにコピー品が出回ってしまった歴史があります。そこで、1888年に創業者ルイ・ヴィトンの息子、ジョルジュ・ヴィトンが「ルイヴィトン」の文字の入った市松模様、「ダミエ」を発売させたのですね。しかし、このダミエですが発表の翌年に世界博覧会で金賞を受賞するとまたしてもコピー商品が出回ってしまうのでついには職人たちがすべて手書きでルイ・ヴィトンの文字を書き入れてコピー商品に対抗したそうですよ。人気のブランドにはそのような苦労があるんですね。モノグラムとダミエはルイヴィトンの代表格ともいえる人気ラインですので比較的修理のしやすいお品物になります。しかしながら、シーズンごとに新しい形がでるのでやはり修理する際は経験と実績が多い修理専門店へご依頼することがまず安心ではないかと思います。

修理リペアの実例概要

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さて早速お預かりしたルイ・ヴィトンダミエの長財布を見ていきましょう。今回は引手部分の本体側が劣化し、折れてしまったように見えます。こうなってしまうとチャックを簡単には開けることができなくなり、財布としての役割を果たせなくなってしまいます。長財布はもともと収納力を重視したデザインが多く長財布の三方向をぐるっと囲むラウンドファスナーがその収納力を支えています。中の収納品が多ければ多いほど財布自体の厚みが膨らむためファスナーを開け閉めするたびにファスナー自体にも負荷がかかります。そして中の収納力が多いほど、物を入れ込んでしまうのが人間の性といいますでしょうか。ルイヴィトンのファスナーは高級感はありますが、伸縮性はほとんどと言っていいほどありません。引っ張る引手部分は一番負荷が集中するところなのでおれてしまいREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでも交換修理をよく受けます。ラウンドファスナーはファスナーの長さがあるため劣化も早いように感じます。今回は本体のスライダー部分の金具が折れてしまっていたので、交換修理としてファスナー部分全体を新しく取り替える修理内容のご提案とさせていただきました。

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もう一つ引手部分の破損で多いのが持ち手側のブランド名が印字されたファスナートップの穴がちぎれてしまうといった状態です。そのような状態だとルイヴィトンのファスナートップはもう付け替えられないため代わりの無地のファスナートップで代用することになります。今回は本体側のみの破損でファスナートップにややすり傷などの劣化はあるものの、ブランド名が入っている正規品のため交換修理はせずに再利用することになりました。交換修理のような大幅な修理の場合は一度縫製をほどきファスナーを交換修理していきます。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAの修理内容の場合、基本的には元のファスナーと同じ色味のブラウンとゴールドで付け替えていきますので違和感なくお使いいただけると思います。仕上がり時には同じ生地を縫い直します。傷をつけないように糸を切っていきます。無事に表面の生地が剥がすことができればファスナーは比較的簡単に外すことが出来ます。外した後はクレンジングで綺麗に汚れを落としていきます。外す前にクレンジングをしても問題ないのですが外した後にクレンジングをするほうが縫い目の間もより綺麗にできるのでそのようにしています。

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こちらが当REPAIR-SHOP HIRAISHIYAのヴィトン修理でファスナーを交換修理したダミエの長財布の仕上がりになります。手前においてあるのが以前付いていたラウンドファスナーです。よく見るとファスナー自体もお使いのうちに劣化しておりファスナーの滑りも買った当初より滑らかではなかったのではないかと推測いたします。ルイヴィトンのような高級ブランドに使われるファスナーは噛み合う部分(エレメント)が金属で出来ています。また、ファスナーが一度はしまっても閉め終わった後に中間地点から開いてしまう現象もファスナーの経年劣化の現象です。基本的にはファスナーの交換修理をおすすめします。また、滑りが悪くなってきた際に自宅で出来る簡単な解決方法としては浸透潤滑剤で有名な”クレ556(クレゴーゴーロク)”をファスナー部分に吹きかける方法です。注意点としては中にクレ556が中に入らないようにいらないタオルを当てるなどして弱めに金属部分のみに吹き掛けてくださいね。数回ファスナーを開け閉めしてなじませると軽くなった感触が分かるはずです。足りなければ数回繰り返し足してみて下さい。匂いが独特なので自己責任でお使いくださいね。

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最終的に仕上がったお品物を横から見た写真です。新品同様の仕上がりになったのではないでしょうか。ブランドのロゴが入ったファスナートップも無事新しいスライダーへうまく収まりました。このようなラウンドファスナーの交換修理で技術が必要なのはコーナー部分の歪みです。一度剥がした表面の生地は少し歪んでいますし、そこへ平行にかつ張りがあるように縫い付けなければなりません。ここが歪んでいるとせっかく開け締めがしづらくて修理専門店で交換修理を依頼しても今度はファスナーの歪みによる開け閉めのしづらさが出てきてしまいます。それではなんのために修理専門店へ出したのかわからなくなってしまいますよね。当REPAIR-SHOP HIRAISHIYAは創業75年のクリーニング店運営を基盤として毎日衣類と向かい合ってきました。その中で得た修理などの知識を強みにルイヴィトン修理に関しても素材や状態を見てお客様にベストなお直しやリペアのご提案を出来るかと思いますので、まずはお気軽にREPAIR-SHOP HIRAISHIYAの公式サイトまたはお電話にてお問い合わせ下さい。スタッフ一同お客様のご利用心よりお待ちしております。