2023/08/17

ディオール修理リペア

ディオール| 染め替え修理

今回LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)の修理専門店であるrepair-shop hiraishiya(リペアショップひらいしや)でご紹介するのはDior(ディオール)の”カナージュラインのチェーンバッグ”の染め直し修理のご依頼です。ディオールのカナージュといえば正方形とひし形の交差したような独特のステッチによるデザインのことを表したもので、カナージュの代表的なアイテムといえばディオールの中でも屈指の名作バッグとなっているレディ・ディオールが有名です。ディオールをよくご存じではない方でも一度は見たことがあるのではないでしょうか。ルイ・ヴィトンでいうモノグラムのような定番人気のデザインです。独特なステッチは『カナージュステッチ(格子柄)』と呼ばれ、正方形とひし形を交差したようなステッチによるデザインを表したもので、藤の編み目とも言われております。 カナージュステッチがレザーバッグに施されていることで、キルティングのようにふっくらとした独特の質感になり、一般のバッグにはない高級感のあるカナージュは人気のラインになります。このカナージュステッチをハンドバッグにあしらったバッグで有名なのが『LADY DIOR(レディディオール)』というハンドバッグです。コロンと小さな見た目にゴージャスなカナージュステッチのバランスに人気があることが納得の高級バッグです。ちなみにこの『LADY DIOR(レディディオール)』は1994年の発売当初は『カナージュ・キュイール』という名前で発売されていたことはご存じでしょうか?30年近く人気のデザインとはディオールの顔といっても良いのではないでしょうか?こちらはお客様からご依頼のあったお品物のお写真です。ゴールド色が素敵なお品物ですが、職人の見立てでは一度染め直しをした形跡があり今回が初めての染め直し修理ではないようでした。そして、年代物のディオールなのでしょう。現在のデザインでは販売されておらず手に入らないディオールのバッグ。修理をした形跡もみるに持ち主が大切に愛用してきた様子が伺えます。元のゴールド色も素敵ではありましたがところどころに革の劣化や顔料の剥離が目立ちました。お客様のご要望で今回はクリーニングと合わせて全体染め替え修理を行うことになりました。

修理リペアの実例概要

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お預かりしたカナージュステッチのチェーンショルダーバックを見ていきましょう。今回の染め替え修理の修理内容はゴールドからブラックへの染め替え修理でご依頼をいただきました。ひとつにブラックといえど、見え方によって様々な黒がございます。某有名女性タレントの方が『黒は300種類ある』とテレビで発言したことも目新しいですね。今回は染め替え修理の下地になる部分がゴールドとあって黒の調合には細心の注意を払って行ないました。こちらのカナージュのチェーンショルダーバックの素材は最高級のラムスキンを使用しており同じようなバックですと、シャネルの”マトラッセ”シリーズも最高級のラムスキンを使用しています。ラムスキンとは生後1年未満までの子羊の皮をなめした革で子羊の皮は、サイズが小さく希少価値も高いため、羊革の中で最高級品とされています。 ラムスキンは耐久性にいたっては牛革よりは短めではありますが強く、正しいお手入れをすれば約10年から15年ほどはベストな状態で愛用できるとされております。牛革より格段に柔らかいラムスキンは購入したばかりでも手に馴染みやすくハイブランドのバックへ最高級品として使用される素材になります。

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こちらのお写真は染め替え修理を行なうバッグの内面のお写真です。今回修理のご依頼があったDior(ディオール)の”カナージュラインのチェーンバッグ”はおそらく年代物のヴィンテージなお品物です。ルイ・ヴィトンの修理専門店としてオープンしたREPAIR SHOP HIRAISHIYAですが、ありがたいことに今ではディオールをはじめとする様々なブランド革製品の修理をご相談いただきます。ルイ・ヴィトンやブランド毎に違う特徴のあるデザインは修理をしている側の私たちも楽しませていただいています。こちらのディオールのカナージュステッチも上品でハイブランドのディオールの品格を漂わせていますね。しかしながら、先ほどお話しした通りバックに使われている革素材は”ラムスキン”といって最高級でありつつも柔らかさと生地のきめ細やかさが特徴の生後1年以内の子羊の革です。長く愛用していくうちに経年劣化をしていくのはしかたのないことですが、革自体のボリュームが減りカナージュステッチならではのぷっくり感はややなくなっておりました。修理を行なう上で気を付けなければいけないのがこの経年劣化自体は直ることはないということです。

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こちらが染め直し修理が終わったディオールのチェーンバックになります。黒色に染め直し修理するにあたって下地がゴールド色ということを加味して顔料を調合していきました。黒がゴールドに負けてしまってはいけませんし、べた塗りの黒ではせっかくの上品さが台無しになってしまうと考えたため色の調合には時間を要しました。染めては乾かしてを何度も繰り返すことで革を染め替えていきます。プロ専用の顔料に専用のバインダー(定着剤)を独自の割合で配合しており色の定着率が良く弊社では仕上げにはコーティングを行なっていますので染め直し修理したあとも色落ちすることがなく安心してお使いいただくことができます。染め直し修理には基本のクリーニングを行ないますので金具部分も光沢を出すことができました。一度染め直し修理を他店で行なっていた可能性があったので、革自体に負担がどうしてもかかってきてはしまいますが黒ということもありとても綺麗に色が定着してくれました。染め直し修理後にコーティング加工は行なっておりますが、通常のラムスキンと同様に水分には弱い性質を持つ革となっていますので取り扱いには注意をしてください。市販の革用防水スプレーもおすすめです。

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染め直し修理を行なった部分を近くから見た写真です。革の顔といってもよいであろう”シボ”も顔料で埋めることなく仕上がっております。”シボ”とは革の表面にある立体的なシワ模様のことです。 シボは革を揉んだり縮ませたりすることで大きく現れ、革の繊維密度や部位によって出方がかなり違ってきます。 シボが粗い表情は個性的な印象で、シボが細かい表情は粗いものに比べて上品な印象を与えてくれます。こちらのお品物はシボが細かい印象でした。最後に使用しても色落ちがしないようコーティング剤で色止めを行いますので安心して到着してからすぐにご使用できます。以上で今回のルイ・ヴィトン修理専門店。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAの修理内容のご紹介がすべて終わりました。皮革製品は大切に扱っていても生き物と同じで経年劣化していくのは仕方のないことです。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではそんな大切にしているバックや財布などのお直しを承っております。自分では手に負えなくなった、ルイ・ヴィトンの正規店で断られてしまったお直しもご提案できる場合がございますのでまずはお問い合わせください。スタッフ一同お待ちしております。