ルイヴィトン ヌメ革のしみ抜きについて

2025.02.26

誰もが憧れる高級ブランド、ルイヴィトン。その製品に使われている「ヌメ革」は、独特の風合いと経年変化が魅力です。しかし、デリケートな素材であるため、シミが付きやすく、一度付いてしまうと簡単には落とせないという悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

お気に入りのヴィトンのバッグに飲み物をこぼしてシミになってしまった

ヌメ革の財布が雨に濡れてシミになってしまった

そんな時、多くの方が「ヌメ革のシミ抜きはできるのか?」という疑問を持つかと思います。

結論から言うと、ヌメ革のシミ抜きは非常に困難です。

この記事では、ヌメ革のシミ抜きが難しい理由を詳しく解説するとともに、シミの種類や状態に応じた対処法、そして、シミを予防するための正しいお手入れ方法まで、プロの視点から徹底的に解説します。

1.ルイヴィトン製品に使用されている「ヌメ革」とはどんな素材?

まず、ヌメ革とはどのような革なのか、その特徴を理解しましょう。

ヌメ革とは、植物由来のタンニンを使って鞣(なめ)された牛革のことです。タンニン鞣しは、化学薬品を使用するクロム鞣しに比べて、革本来の自然な風合いや質感を残すことができるのが特徴です。

ルイヴィトンの製品に使われているヌメ革は、特に厳選された上質な原皮を使用し、伝統的な製法で作られています。そのため、使い込むほどに飴色に変化し、艶が増していく「エイジング」を楽しむことができます。

ルイヴィトン製品では、このヌメ革がバッグのハンドルやショルダーストラップ、バッグの縁取り(トリミング)、財布の内装など、様々な箇所に使用されています。

ヌメ革の要点をまとめると…

  • 自然な風合い:革本来のシワや血管の跡などが残っており、一つとして同じものがない独特の表情を持っています。
  • エイジング:使い込むほどに色艶が増し、味わい深い飴色へと変化していきます。
  • 高い耐久性:適切なメンテナンスを行うことで長く愛用し続けることができます。

2.なぜヌメ革のシミ抜きは難しいのか?

ヌメ革のシミ抜きが難しい理由は、その特性にあります。

ヌメ革は、表面に加工が施されていないため、水分を非常に吸収しやすい性質を持っています。雨に濡れたり、飲み物をこぼしたりすると、すぐに水分が革の内部に浸透し、シミとなってしまいます。

ヌメ革をなめすのに使われているのが植物タンニンになります。タンニンというのはポリフェノールの一種で、口の中に入れると強い渋みを感じます。その中でも「加水分解型タンニン」というものになります。水と反応して濃い色に変色する性質があります。このため、水分が浸透した部分がシミとして残ってしまうのです。

水分は、革の表面だけでなく、繊維の奥深くまで浸透します。そのため、表面を拭き取っただけではシミを取り除くことができず、専門的な技術が必要となります。

シミを落とそうとして、市販のクリーナーや洗剤を使用したり、強く擦ったりすると、かえってシミを広げたり、革を傷めたりする可能性があります。

3.ヌメ革にできるシミの種類と対処法

ヌメ革にできるシミには、いくつかの種類があります。それぞれのシミの原因と、適切な対処法を知っておきましょう。

雨や飲み物など、水分が原因でできるシミです。特にバッグのハンドルや底面など、雨に濡れやすい部分によく見られます。よごれが付いてすぐの場合には乾いた布で優しく水分を拭き取り、風通しの良い場所で陰干しします。この時ゴシゴシと擦ってしまわないように注意しましょう。

油分を含む食品や化粧品などが付着してできるシミです。財布の内側や、バッグの中で化粧品が漏れてしまった場合などによく見られます。こちらも付着してすぐの場合には、乾いた布で優しく油分を拭き取りましょう。ふき取ったのちにもまた油分が残る場合にはベビーパウダーをまぶして油分を吸着させるという方法もありますが、汚れが広範囲にわたる場合や時間が経ってしまっている染みについては専門のお店に依頼することをオススメします。

長年の使用による摩擦や汚れ、手垢などが原因でできる黒ずみです。バッグのハンドルやショルダーストラップなど、よく触れる部分にできやすいものになります。前半でご説明した油シミや水シミのように瞬間的にできるものではなく、徐々に蓄積することによってできる汚れのため、表面化するまでに時間がかかります。

カビは【高温】【多湿】【密室】この三つがそろう環境をとても好みます。

とはいっても、どこからが高温・多湿に当たるのか明確に数字を把握している方は少ないのではないでしょうか。

具体的な数字を挙げると、高温多湿な環境というのは20~30℃の気温で70%以上の湿度のある場所です。さらに細かい条件を挙げると25~28℃が最もカビの生育に最適な環境で、湿度80%以上で一気にカビの繁殖が進むとされています。6月から9月は特に湿度が高くなり、場所によっては7月頃は90%近い湿度になる日もあります。この90%という数字はあくまで外の湿度となります。

基本的にクローゼットの扉は常に閉められているので、密室の時間が長くなります。扉が閉まったままになっていることによって風通しが悪く湿気や熱の逃げ場がなくなってしまうため、室内とはいってもクローゼット内でも75~85%近くなると想定されます。

こういった環境に革製品を置き続けてしまうと、バッグにカビが生えてしまう原因になります。

  • どのシミの場合も、強く擦ったり、水洗いしたりするのは絶対に避けてください。
  • 自己判断で対処するのではなく、できるだけ早く専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。

4.ヌメ革のシミ抜きに関するQ&A

【A1】 できるだけ避けるのが賢明でしょう。「絶対に使用してはいけない」ということではありませんが、濡れてしまった後のリスクを考えるとおすすめいたしかねます。どうしても使用する場合は、使用後、すぐに水分を拭き取り陰干ししてください。小雨程度なら大丈夫なこともありますが、濡れたまま放置するとシミになる可能性が高いため、使用直後のケアはより一層注意が必要です。

【A2】避けた方が良いでしょう。摩擦によって黒ずみや色移りが起こりやすくなります。また、汗や湿気もシミの原因になります。ポケットに入れたまま座ったりしてしまうと、お財布本体に負荷がかかってしまい生地が傷んでしまうことが懸念されます。そのためお財布についてはバッグに入れて持ち歩かれることをオススメします。

【A3】表面に軽く生えている程度であれば、乾いた布で拭き取り、風通しの良い場所で陰干しすることで改善することがあります。しかし、カビが広範囲に広がっている場合や、革の内部まで浸透している場合は、専門のクリーニング店に相談することをオススメします。カビは再発しやすいため、専門業者による徹底的なクリーニングと防カビ処理が必要です。

【A4】エイジングを促進させる効果として日光浴をさせる、革専用のオイルを塗るなどの方法があります。しかし、これらの方法は過度におこなうと革を傷める可能性があります。エイジングが進んだ状態の革は程よい柔らかさで手触りも良いため、非常に魅力的ではありますが、せっかくのヌメ革ですので、自然なエイジングを楽しむのが一番おすすめです。

【A5】シミの種類や程度、製品の大きさ、依頼するクリーニング店によって異なりますが、数千円から数万円程度が目安となります。リカラーの場合は、さらに高額になることがあります。事前に見積もりを取ることをおすすめします。

5.ヌメ革のシミを予防する正しいお手入れ方法

ヌメ革のシミは、一度付いてしまうと完全に取り除くことは難しいです。シミを予防するためには、日頃から正しいお手入れをすることが大切です。

ブラッシングは、革の表面に付着したホコリや汚れを取り除き、カビの発生を予防する効果があります。柔らかい馬毛ブラシなどを使用し、優しくブラッシングしましょう。

定期的に革専用のクリーナーで汚れを落とすことで、黒ずみを予防することができます。クリーナーは、革に優しい成分で作られているため、安心して使用できます。ただし、クリーナーの使用頻度には注意し、製品の説明書をよく読んでから使用しましょう。

ヌメ革は乾燥するとひび割れの原因になります。定期的に革専用の保湿クリームで栄養を与え、しなやかさを保ちましょう。保湿クリームは一部に集中的に塗るのではなく、薄く均一に塗るのがポイントです。塗りすぎるとシミになってしまうので注意が必要です。

ルイヴィトンなどの高級ブランドバッグは、大切に保管しなければ、という気持ちから丁寧に箱に入れて収納で保管している方も多いかと思います。しかしその保管方法も、実は注意が必要です。高温多湿な場所や直射日光が当たる場所での保管は避け、風通しの良い場所に保管することをオススメします。また、長期間使用しない場合は、不織布の袋などに入れて保管しましょう。型崩れを防ぐために、バッグの中に詰め物をすることで美しいシルエットを保つことが出来ます。

6.まとめ

いかがでしたか?

本日は、ヌメ革のしみ抜きについて解説をしてきました。

長い間使っていなかったはずのバッグに心当たりのないシミがついていたりすると焦ってしまうこともあるかと思います。自分で落とそうとしたり、さらにまた放っておいたりしてしまうと余計に状況が悪化してしまう可能性があるため、適切な処置に不安がある場合には速やかに専門のお店に相談されることをオススメします。

その際はぜひ一度「REPAIR-SHOP HIRAISHIYAへ依頼する」こともご検討いただければ幸いです。

REPAIRーSHOP HIRAISHIYAは主にWebサイトを利用してのオンライン注文にて承っております。24時間いつでも注文フォームをご利用いただけますので、営業時間を気にせず簡単にお手続きが可能となっております。お電話での受付につきましては専属のオペレーターが対応をいたします。ネットでの注文や操作にご不安がある場合にはぜひこちらをご利用くださいませ。

REPAIRーSHOP HIRAISHIYAではルイヴィトンをはじめとする数多くのお品物の取り扱い実績がございます。ルイヴィトンでも同じモデルの品物を何個も受け付けていますが、一つとして同じ状態の品物はありません。お品物の状態によってその度合いや修理方法は様々です。

REPAIR-SHOP HIRAISHIYAはお品物の状態に合わせたご提案を心掛けております。ぜひお手元のお品物について、お困りごとなどございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。


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