ヌメ革の特徴とメンテナンス

2023.02.17

洗練されたデザインが印象的なLouis Vuitton。今回は、使用していく中でますます磨きのかかる味わい深い素材である【ヌメ革】の特徴と魅力についてご説明していきます。すでにご愛用なさっている方も、当社でリペアを検討されている方も是非、お読みいただければと思います。

1.皮と革

どちらも同じく『かわ』と読むこの漢字。意味の違いを皆さんはご存じでしょうか。

1-1.それぞれの意味

皮とは、動植物の表面を覆い包んでいるもののこと。革とは、獣類の毛をとり除き鞣したもの。とされています。皮が『鞣す』という工程を経ることで革になる、ということですね。

1-2.皮から革へ『鞣す』とは

鞣す(なめす)とは、動物の皮から腐敗の原因となるタンパク質や脂肪を取り除き、薬品で柔軟性と耐久性を持たせる作業のことです。この鞣しの際に使われる素材はいくつかあり、主流なのは植物からとれる『タンニン』と化学薬品『クロム』を使用する方法です。現在は成分の抽出や浸透の仕方などの観点からこれらが主流ですが、先人たちはあらゆる素材や成分を活用し鞣してきました。例としてはくん煙や油(魚油)を使う方法などもがあげられます。たくさんの経験や歴史が積み重なって現代の技術につながっているんですね。

2.革の特徴

ここからはヴィトンに使用されているヌメ革の特徴とその魅力について触れていきます。

2-1.ヌメ革の特徴

ヌメ革とはタンニンを使って鞣された革です。タンニンとは植物の樹脂や葉などに含まれています。柿などにも含まれる渋みの成分でポリフェノールの一種です。植物によって含まれているタンニンの量や性質が異なり、皮に作用するまでの時間や仕上がりの状態にも影響してきます。それぞれの用途によって使い分けられています。

このタンニン鞣しは古代より活用されており、きっかけは『木の近くで亡くなった動物の肉は腐っていたが、皮は腐らず残っていたのが発見されたこと』だといわれています。この方法はゆっくりじっくり、皮に負担のかからないように付け込む必要があります。皮への浸透に時間がかかり、出来上がるまで1か月以上の時間が必要となります。また、ほかの方法での鞣しと比べ、伸びにくかったり弾力性が薄いという特性があります。ですが使い込んでいくことで革本来の質感が出てくるため、エイジングを楽しむにはうってつけの素材といえます。

2-2.表面加工と素材の魅力

ヴィトンの持ち手や根革に使用されているヌメ革の表面は、ほとんど加工の施されていないものです。そのため、牛がもともと持っていた傷(放牧されている中でできるもの)や血管、毛穴などがそのまま表面に残ります。日光を浴びて日焼けしたり、人の手に触れることで手の脂が染み込むことにより、徐々に濃い色になっていき、味わい深い色となります。また、使用中の摩擦などによって表面が磨かれ、皮独特の艶が出てきます。

はじめは硬かった革も詰まっていた繊維が少しずつほぐれていき、柔らかくなって馴染んできます。表面加工を施さないためへこみや傷に弱いですが、それもまた長く使っていく中で味になるのではないでしょうか。

3.メンテナンスや修理

3-1.ご自宅でのメンテナンス

革は乾燥で硬くなる性質を持っています。使用していく中で表面にかさつきが出始めたら、専用のオイルで拭き上げて油分とうるおいを補充してあげましょう。水に弱いため、濡れてしまうと輪じみや色落ち、色移りそしてカビの原因となるため、水がついてしまった場合は出来るだけすぐに拭きましょう。また、長く使わない場合は通気性の良いところで保管し、時々日陰干しと軽い拭き上げをして埃を落としましょう。

3-2.正規店や修理専門店でのメンテナンスや修理

ご自宅でのメンテナンスは、できる範囲にどうしても限りがありますので、そういった際には正規のルイヴィトンストアをご利用になるか、或いは修理専門店のご利用をお勧めいたします。ここからはそれぞれのメリットデメリットについて説明をしていきます。

(1)正規店のメリットとデメリット

正規店であれば、純正のブランド名が刻印されているパーツを使用(取り寄せ)しての修理が行えます。既成の類似品ではなく純正品ですので、修理費用が高額になります。また、海外購入品であったり正規店で購入したことを証明する書類がない場合、修理を受け付けてもらえないことがあります。

(2)修理専門店のメリットとデメリット

修理専門店ですと、類似した代替品での修理となります。ファスナーの引手部分やバッグの留め革部分のブランド名の刻印がされていない代替品での修理となります。修理専門店では、入手場所や保証書等の有無などにかかわらず修理が可能です。当社でも修理やお見積りはもちろん、修理依頼前のご相談も承っております。

(3)どちらに出すのがよい?

いざ修理を依頼するとなった際はどちらに出せばよいのでしょうか。これについて明確な正解は無く、純正品を使っての修理を希望している、保証書をなくしてしまった、などそれぞれの状況に合わせての判断となります。また、正規店と修理専門店ではそれぞれ修理の可否の基準は異なるため、どちらか一方で修理不可能な場合でも、もう一方に依頼してみたら修理が可能だということもありますので、一度断られてしまってもあきらめずにほかの店舗をあたってみることも一つの方法です。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は革の特徴や魅力、そしてメンテナンスについてご紹介してまいりました。ぜひ今後の購入やお手入れの際にご活用ください。当社のインスタグラムやホームページで修理前後の写真を随時公開しておりますので、ぜひご参考までにご覧ください。また、ホームページ内には無料カウンセリングの専用フォームをご用意しておりますので、ご注文前の疑問な点やお困りごとなどお気軽にご連絡くださいませ。(修理希望箇所のお写真を併せて添付いただきますと、ご案内ご説明がスムーズです。)

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