高級ブランドとSDGs

2024.05.09

皆様は最近、テレビやニュースなどで「SDGs(エスディージーズ)」という言葉をよく見かけますでしょうか。近年、デジタルのみならず街中のポスターなどにも書かれているSDGsという言葉。名前は知っているけれど実際の意味はあまりよく分からないという方が多いかと思います。
最近ではSDGsの取り組みに向けて様々な大企業がサステナブルな取り組みを急速に加速させており、今やファッションは見かけだけではなくSDGs的な要素が必須となりつつあります。
今回はそんな世界的な取り組みであるSDGsについてご紹介させていただきます。

そもそもSDGsとは、いったいどんな意味なのでしょうか。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称であり、日本語で「持続可能な開発目標」という意味になります。始まりは2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットで国連に加盟している全193カ国によって、2016年から2030年の15年間で達成すべき世界共通の目標として採択されました。
持続可能な開発目標(SDGs)は、貧困、不平等・格差、気候変動による影響など、世界の様々な問題を根本的に解決し、すべての人たちにとってより良い世界をつくっていくために設定された世界共通の17の目標です。”持続可能”とは、将来の世代のために地球環境や資源が守られ今の状態が持続できることであり、”開発”とは、すべての人が安心して自分の能力を十分に発揮しながら満足して暮らせることを指します。

国連が決めた世界の目標と聞くと自分たちとは遠い感じがすると思いますが、たとえば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で学校が休校になり、授業が受けられないということはSDGsの目標4である【質の高い教育をみんなに】に該当します。こちらは、住んでいる場所や家庭の経済状況に関わらず、誰もが無料で質の高い基礎教育や職業訓練を平等に受け、すべての世代の人々が生涯にわたり様々な機会に学習できるようにするための目標です。

また、日頃買い物をするスーパーで賞味期限が切れてしまった商品について考えることは、目標12である【つくる責任 つかう責任】を考えることにもつながります。こちらは、すべての国が一人当たりの食品廃棄量を全体で半分に減らすこと、化学物質や廃棄物を大気や水、土壌に流れ出すことを食い止めることを目指す目標です。

このように、SDGsと私たちの生活は強く結びついていることがお分かりになるかと思います。

ファッション業界は、製造時におけるエネルギー使用量や大量の廃棄物など、環境への負荷が大きいことが国際的な課題となっています。そこで近年では、生産から着用、廃棄に至るまで環境への負荷を考慮した「サステナブル」なファッションへの取り組みが様々な企業で急速に拡大しています。
ファッション業界の取り組みとしては、化学物質を使わずオーガニック栽培されたコットンやリネン素材を使うことや、動物実験をしないことなどが挙げられ、これらは人と地球に配慮した”エシカルファッション”とも呼ばれています。

ルイヴィトンは旅をテーマにしているファッションブランドで、常に革新的な提案をしているブランドです。常に一流ブランドであり続けるルイヴィトンが大切にしていることは、「サステナビリティ・終わらぬ旅」という考えです。ここからは、SDGsに通ずるサステナビリティをルイヴィトンはどのように取り組んでいるのかご紹介いたします。

ルイヴィトンは、2018年に社会的奉仕事業の全5分野において優れた評価をされ、バタフライマークを取得しました。バタフライマークとは、ポジティブラグジュアリー社が独自に定めた5つの評価基準により認定され、ごく限られた企業のみに送られるマークです。ポジティブラグジュアリー社は、バタフライマークを通じて未来を大切にする消費者や高級ブランドのコミュニティを作り上げるということをキーワードに活動しており、その理念に共感する企業がお互いに協力し合って環境問題へ取り組んでいました。
バタフライマークの審査をクリアすることは決して容易なことではありませんでしたので、当時ルイヴィトンが認定されたときはファッション業界がとても注目する出来事でした。

ルイヴィトンは、2015年のパリ協定で採択された地球の気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標への貢献をさらに強化するため、2030年までに直接的な二酸化炭素排出量を55%削減するという目標に取り組んでいます。これは、店舗でのエネルギー消費だけではなく、サービス・輸送・従業員の出張・廃棄物などの世界各地で行われるメゾンの活動に関するものすべてを指します。
ルイヴィトンは総排出量のほぼ半分を占める建物内や設備でのエネルギー消費や、輸送による排出量の削減に重点を置き、HPにはそれに対しての進捗状況を表す数値を記載するなど、積極的にアプローチしています。

ルイヴィトンは2021年に「チャーリー」というSDGsに特化したスニーカーを発売しました。これはブランドの大きな挑戦であり、これからのブランド価値を変える大きな一歩と言えるアイテムとして世界中で注目されました。デザインは品のあるフォルムに大きなLVのロゴが特徴的で、性別問わず、また比較的どんな場面にも対応できるデザインのユニセックスアイテムとなっています。
チャーリーの大きなポイントは、このスニーカーの90%の素材がリサイクル・バイオ素材を使用されているということです。具体的には、スニーカーの重さの約50%を占めるソール(靴底)部分の94%はリサイクルラバーを使用し、アッパー(甲の部分)はとうもろこしベースの再生プラスチックを使用しているそうです。

そのほか、シューレース(靴ひも)やタン(甲部分をおおう内側パーツ)は100%リサイクル素材を使用していたり、スニーカーのパッケージも環境負荷を最小限に抑えたサステナブル素材を使用していたりと、とことん追求されたエコなデザインが魅力的なスニーカーとなっています。

製品は大量に生産し、大量に破棄されることで環境への負荷がとても大きくなります。使い捨てという概念をやめて良い物をとことん長く使用していくという行動は地球のためにも私たちができる取り組みのひとつです。壊れてしまったからと言ってすぐに捨てしまうのではなく、修理してまた長く使っていくことで環境への負荷を減らすことができます。ひとりひとりの小さな積み重ねがとても重要ということです。

ここではLouis Vuitton製品の修理事例をご紹介していきます。壊れてしまったLouis Vuitton製品も修理をすることでまた長く愛用していくことができる場合もありますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。

Louis Vuittonキーポルは1924年に発売された旅行用のボストンバッグです。キーポルの一番の特徴はスーツケースに折りたたんで収納ができるように柔らかいコットン素材を使用していることです。また、丸みを帯びたハンドルは長時間の移動のときでも痛くならないような設計となっていたり、ハンドルを固定するためのポワニエやネームタグが付いていたりと、長距離の移動や空港でバッグを預ける際に役立つ機能が備わっています。

使い勝手の良いキーポルですが重い荷物を長時間運ぶことが多いため劣化しやすい製品でもあります。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでご依頼いただいた修理依頼箇所は「耳革」と呼ばれる両サイド上部に付いているヌメ革部分の交換修理です。
キーポルのファスナーを開け閉めするときに耳革をつまんで引っ張りながら行う人は多いのではないでしょうか。とてもつまみやすい位置にあるためついつい引っ張ってしまいますが、やはりその分負荷がかかってしまいますので耳革の千切れによる修理依頼はとても多くいただきます。
耳革を交換するときは新しいヌメ革から切り出して作成し、取り付けていきます。取り付けの際はサイドを分解する必要がありますが、この時にパイピングと呼ばれる縁周りの細い革が劣化していると、耳革を縫い付けたときにパイピングがボロボロになってしまいますので注意が必要です。もしパイピングの再利用ができなかった場合はパイピングも新しいヌメ革に交換を行います。
このように、修理を行う際は一箇所の修理だったとしても他のパーツの状態も加味しながら作業を行わなければいけません。

Louis Vuittonの定番の長財布と言えば「ジッピーウォレット」か「ポルトフォイユ・サラ」ではないでしょうか。ジッピーウォレットはラウンドファスナーのスムーズな開閉が最大の特徴で、ポルトフォイユ・サラは正面から見たときに封筒のようなフラップ(蓋)が特徴的な長財布です。ポルトフォイユとはフランス語で財布と言う意味があり、ポルトモネはフランス語で小銭入れや小さい財布という意味があります。
ポルトフォイユ・サラはLouis Vuittonの長財布の中では大きすぎず小さすぎないサイズ感で使い勝手が良く世界中で人気があるアイテムです。また、収納力に優れていてカード入れは16枚あり、中央にファスナー付きの小銭入れが配置されているので上下にお札が入る仕切りとなっています。

今回修理依頼を承ったものはLouis Vuittonポルトフォイユ・サラのマチ革が破れてしまったとのことでご相談いただきました。こちらは破れてしまった片方のマチ革を新しい革へ交換することで対応いたしました。交換するマチ革の内側はシャンタン生地となりますので他の部分とは異なる素材となりますが、シャンタン生地は革特有の劣化によるべたつきや剥がれが起こりずらい生地となっているので長く製品を愛用することができるかと思います。
このように壊れてしまったアイテムでも修理をすることで捨てることにならずにまた使い続けることができるようになりますので、リペアをすることでSDGsの取り組みに少し貢献することができるのではないでしょうか。

私たちの生活に欠かせないファッションは様々な業界の中でも環境負荷が高い分野のひとつです。近年注目されているSDGsに向けて活性化するハイブランドのサステナブルな取り組みは急速に加速しており、今やファッションはデザイン性だけではなくSDGs的な要素が必須となりつつあります。
私たちは消費者として様々なブランドが取り組むSDGs(製品の素材、生産過程、包装の素材や方法)などの見直しをまずは知ることが大切です。また、皆さんが愛用されている様々なアイテムも壊れてしまったから捨てて次のものを買うのではなく、修理をして少しでも長く使い続けるという意識も重要です。1人1人がサステナブルな選択を行うことでそれが世界的な流行となり、未来のファッションの在り方をさらに地球にやさしいものへと導いていくのではないでしょうか。
高級ブランド製品は長年愛用されるアイテムだと思いますが、使用を続けていくと劣化は免れません。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではさまざまな修理や染め直し修理を行っています。劣化や色剥げが起こってしまったルイヴィトン製品でも、REPAIR-SHOP HIRAISHIYAで修理をすることによってまた新たに生まれ変わらせることが可能です。今回ご紹介したルイヴィトン製品以外にも様々なラインのアイテムや、ルイヴィトン以外のブランドの修理も承っております。また、ルイヴィトン正規店では断られてしまった修理でも、REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは修理可能な場合もありますのでぜひ一度ご相談くださいませ。


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