カバンの歴史や種類

2024.06.12

大昔から「カバン」というものは人々の暮らしには無くてはならないものでした。誕生した当初のカバンは主に荷物や小物を運ぶために使用するものでしたが、時代の変化によって装飾品としての側面も強くなっています。さらに運ぶという行為は様々な面で発達し、運ぶための道具であるカバンもそれに伴って一緒に変化しています。
時代の大きな流れの中で、カバンと人々はどのように関わり合いどんな存在だったのでしょうか。今回はそんな「カバン」の歴史と様々な種類についてご紹介していきます。

カバンは人間が洞窟に住み移動しながら生活していた紀元前30世紀頃にはすでに存在していたと言われています。当時は動物の皮や植物で作った”カバンのような入れ物”に食料や武器など、生活に必要なすべての荷物を入れて持ち運びながら移動をしていました。
氷河の中から発見されたアイスマンのミイラは、樹皮を編んだポシェットと山羊皮で作られたリュックサック、仔牛皮の袋を持っていて樹皮のポシェットには食料を入れていたのではないかと推測されています。

18世紀後半になると、人々の服装は華やかで装飾豊かな服飾からシンプルで簡易的な服装へと変わり、服のポケットが少なくなったことからモノやお金を持ち歩くときにはカバンが欠かせないものとなったそうです。20世紀にはいると産業が発展したことで自転車などの乗り物が広がり、両手が自由になるような肩掛けのカバン(ショルダーバッグ)が誕生します。

日本のカバンの始まりは「平面の布」と言われています。袋の起源とも言える平面布は、立体を創るベースとなって袋を生み出したほか、荷物を包む風呂敷として確立し、運ぶための道具となりました。その後日本におけるカバンの歴史は大きく分けると袋状のものと箱状のものに分けられていきます。袋状のものは、平安時代にはすでに小さな巾着袋に荷物を入れて使用していたと言われています。また、室町時代になると家長の奥さんが袋状のものに貴重品や金銭を入れて管理していたことから、「おふくろ」や「おふくろさま」などと呼ばれ、やがてその呼び名が母親を指す言葉に変わったという諸説もあります。
箱状のものは、鎧櫃(よろいびつ)と呼ばれる鎧を入れておく蓋付きの箱や、胴乱(どうらん)と呼ばれる火縄銃の火薬や薬品などを持ち運ぶときに利用する革製の小型ケースなどが昔から使われていました。ちなみに、時代劇でおなじみの印籠(いんろう)は薬入れとして使われていたそうですよ。

その後、明治の文明開化を境に日本のカバンの歴史は大きく変わっていき、それまでの袋や箱のデザインも一新されて革製のものが主流となっていきます。しかし当時カバンというものは外国人や上流階級の人たちのものという認識だったので明治後期にならないと一般的には広がっていきませんでした。

世界にはたくさんのブランドが存在しています。上質な素材を使って一点一点職人の手作業で作られたGUCCI(グッチ)や、世界初の女性用ショルダーバッグと言われるマトラッセで有名なCHANEL(シャネル)、世界のセレブから大注目されたラゲージバッグのCELINE(セリーヌ)など、カバンが有名な世界的ブランドは多数あります。今回はその中でも特に有名で人気のあるブランドをご紹介します。

Hermès(エルメス)で代表的なバッグと言えば、「ケリー」や「バーキン」ですよね。ケリーは発売当初「サック・ア・クロア」という名前でしたが、当時大人気だった女優のグレース・ケリーが妊娠中のおなかを隠すために持っていたバッグとして有名になり、エルメスはこのグレース・ケリーの人気にあやかって商品名をケリーと変更しました。ケリーバッグはバッグデザインの代名詞として時代を超えて人気となり、現在ではさまざまなブランドがこの形のバッグを販売しています。

バーキンは当時のエルメスの社長が、飛行機で偶然イギリスの女優で歌手のジェーン・バーキンの隣に座ったことがきっかけで誕生したと言われています。フライト中の二人の会話の中でジェーンがバッグの理想を語り、それがエルメスの職人の手によって形になりました。そんなバーキンは見た目やデザインの美しさ、収納力、機能性を兼ね備えたバッグとなっているので、誕生から30年以上経った今でも女性の憧れのバッグとしてトップに君臨しています。

ルイヴィトンは19世紀半ばにフランスのパリで旅行用カバン専門アトリエをオープンさせたところから始まります。当時は平積みしやすいデザインや内側に仕切りがあることでの使い勝手の良さ、丈夫で軽量なうえに防水加工が施された素材(グリ・トリアノン・キャンバス)を使ったトランクケースを開発し、とても画期的なバッグとしてその名が世界中に知れ渡りました。さらにルイヴィトンは、旅行用の移動型タンス「ワードローブトランク」を開発するなど、カバンの歴史の中での大きな地位を築き上げました。

ここで少しクイズです!
「バッグ」と「バック」、どちらが正しい言い方なのか皆さんはご存知でしょうか?

正解は「バッグ」の方が正しい言い方になります。理由は、カバンは英語で”bag”と書き、英語の綴りが”g”で終わっているので濁った音で終わる方が正しいという理屈です。
ちなみに、「バック」は”back”=後ろという意味の英単語をカタカナにしたものだということになります。こちらは英語の綴りが”ck”で終わっているので「ク」の発音になり、カタカナ表記も「グ」ではなく「ク」になるというわけですね。

カバンには小さいものから大きいものまで、それぞれの用途によってさまざまな形状のものが発売されています。ここからはさまざまなカバンの種類についてご紹介していきます。

ハンドル(持ち手)が付いていてハンドルを手で握って持ち運べるようなカバンのことをハンドバッグと呼びます。英語ではハンドバッグのことを”purse”と呼ぶこともあり、女性が持つ小さめのカバンという意味の言葉です。
トートバッグは開口部が大きく開いて上から物を出し入れすることができ、シンプルな形状のカバンのことです。トートバッグには明確な定義があるわけではありませんが、ハンドバッグよりも大きく、ハンドルが長めのものが多いようですよ。

ショルダーバッグは肩にかけて使用するバッグです。一般的には斜めに背負うことが多く、バッグが体の対角線上に位置します。ショルダーベルトの長さは調節できるデザインが多いのでそれぞれの体形に合わせて使用することができます。ショルダーバッグは小物を収納するためのポケットが備わっているので、通勤や買い物、旅行などの幅広いシーンで活用することができます。
メッセンジャーバッグはショルダーストラップを使用して斜めに背負い、背中や腰の横あたりに位置するバッグです。ショルダーバッグよりも短い位置で使用するのが特徴ですね。メッセンジャー(品物・手紙・伝言などを届けたり伝えたりする人)や自転車配達員が使うことから命名されたと言われています。

リュックは両肩にストラップを通して背負うことで両手が自由に使えるバッグです。アウトドアでのハードな環境の中での使用にも耐えられるように頑丈な作りとなっていたり、防水性があったりと、十分な耐久性があるモデルが多くあります。
ボストンバッグは比較的大型でハンドルとショルダーベルトの両方が付いていることが多いバッグです。荷物の重さや大きさによって手で持つこともできますし、肩にかけることも可能です。ボストンバッグはその大容量さと多機能性から、旅行やスポーツ用として使用されることが多いです。

普段何気なく使っているカバンですが、カバンの歴史はとても古い時代から始まっていたことが分かります。カバンは時代の変化によって素材、形状、機能面などが進化していき、近年ではリモートワークの普及でさらにビジネススタイルが多様化し、カバンも同様に多様化しています。その他にも、性別で分類しないジェンダーレスなデザインや女性の就業率増加を受けて開発された女性のためのビジネスバッグなど、社会環境とともにカバンも進化しています。人々とカバンは、これからも共に進化と変化を繰り返していくでしょう。
愛用されているカバンに劣化や色剥げが起こってしまった場合でも、REPAIR-SHOP HIRAISHIYAで修理をすることによってまた新たに生まれ変わらせることが可能です。様々なブランドの修理を承っておりますのでぜひ一度ご相談くださいませ。


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