2023/09/20

ディオール修理リペア

部分染め修理・クリーニング

ルイ・ヴィトンの修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYAに今回ご依頼を頂きましたのは、ディオールの「レディ ディオール IPHONE ケース」です。ピンクの可愛らしいスマホケースですね。高級ブランドのルイ・ヴィトンやディオールではスマホケースも発売しています。今回お預かりしたスマホケースは「レディ ディオール」iPhone ケース。可愛らしいピンクのデザインにカナージュステッチが上品にデザインされています。独特なステッチは『カナージュステッチ(格子柄)』と呼ばれ、正方形とひし形を交差したようなステッチによるデザインを表したもので、”藤の編み目”とも言われております。 カナージュステッチがレザーバッグに施されていることで、キルティングのようにふっくらとした独特の質感になり、高級感のあるカナージュは人気のラインになります。カナージュの代表的なアイテムといえばディオールの中でも屈指の名作バッグとなっているレディ・ディオールが有名です。ディオールをよくご存じではない方でも雑誌などで一度は見たことがあるのではないでしょうか。ルイ・ヴィトンでいうモノグラムのような定番人気のデザインです。そのレディディオールのラインから発売されたこちらのスマホケースは予想通り人気商品となり一時は入手困難になるほど。カラーバリエーションも多くベーシックなブラックから近年の人気色であるベージュなど原色というよりはミルクを一滴垂らしたようなクリーミィーなパステルカラーの展開となっています。今回お客様からご依頼のあったお品物はパステルカラーの中でも青みピンクが可愛らしい一品ですが、色の特性上汚れが目立ちやすく気になるようでした。また、こちらのディオールのスマホケースは革の中でも生後1年以内の子羊から取れる柔らかい質感が特徴の”ラムスキン”でできており革の中でも希少価値の高い素材で最高級とされている革です。柔らかな質感のため、とてもデリケートな革でもある”ラムスキン”は水分などに非常に弱い素材となっています。ラムスキンを使用する高級ブランドは多くルイ・ヴィトンもその一つですが、同じように汚れが気になるといったことでクリーニングをご依頼いただくことが多いです。デリケートな素材のためご自身でのクリーニングにはリスクが高いと思われる方も多い”ラムスキン”のクリーニングと染め修理を今回はご紹介していきたいと思います。

修理リペアの実例概要

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こちらがご依頼いただきました「レディ ディオール IPHONE ケース」です。スマホケースはスマホによって形が違ってくるため取り扱いが大変なように思いますが、ルイ・ヴィトンをはじめ各高級ブランドから様々なタイプのスマホケースが発売されています。そんな現代人の必需品ともいえるスマートフォンですが、日常的に使うものになるのでやはり汚れやすく劣化も早い傾向にあります。今回のご依頼はスマホケースの”クリーニング”と”染め修理”ですが、というのも全体的な黒ずみが気になるということでした。手に持つことが多いお品物ですから、手垢や汗汚れなどは気を付けていても必ずついてしまうものです。また昨今の情勢で頻繁に使うようになったアルコールの消毒剤も実は革には大きなダメージを残してしまいます。特に色で染められている製品ですと色が褪せてしまったり変色の原因となり近年問題となっております。ルイ・ヴィトン修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは実物を見て必要なリペアをご提案いたします。今回は革本体にダメージは見受けられませんでしたので、通常クリーニングと表面の”染め修理”でおすすめさせていただきました。

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「レディ ディオール IPHONE ケース」の素材は最高級のラムスキンを使用しており同じような高級ブランドですと、シャネルの”マトラッセ”シリーズも同じく最高級のラムスキンを使用しています。ラムスキンとは生後1年未満までの子羊の皮をなめした革で子羊の皮は、サイズが小さく希少価値も高いため、羊革の中で最高級品とされています。 ラムスキンは耐久性にいたっては牛革よりは短めではありますが強く、正しいお手入れをすれば約10年から15年ほどはベストな状態で愛用できるとされております。牛革より格段に柔らかいラムスキンは購入したばかりでも手に馴染みやすくハイブランドのバックにも最高級品として使用される素材になります。こちらの左下角の汚れをアップした画像をご覧ください。角は擦り傷ができやすいところですが今回のようなラムスキンを使用した製品は柔らかい革とあって少し落としただけでも革自体がえぐれてしまうこともあります。最高級の革素材を使用したスマホケースですから、できるだけ長く使用したいですよね。ここからは革のクリーニングと染め修理を行なっていきます。修理をすることでどのくらい変わるのか見てください。

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こちらが今回ご依頼をいただきました「レディ ディオール IPHONE ケース」のクリーニングと染め修理が完了した状態になります。同じ色に染め直し修理する場合、下地の色と同じ色味を単純に重ねていけば良いとは限りません。足し算していくと色が濃くなってしまうので時には引き算をして考えなければいけないのです。下地に同じ色があるからこそ慎重に顔料を調合していきました。薄い色で染めて汚れをカバーできなくてはいけませんし、べた塗りのピンクではせっかくの上品さが台無しになってしまうと考えたため色の調合には時間を要しました。染めては乾かしてを何度も繰り返すことで革を染め替えていきます。プロ専用の顔料に専用のバインダー(定着剤)を独自の割合で配合しており色の定着率が良く、弊社では仕上げにはコーティングを行なっていますので染め直し修理したあとも色落ちすることがなく安心してお使いいただくことができます。染め直し修理の前後にはクリーニングを行ないますのでディオールのロゴが可愛らしい金具部分も手作業でクリーニングを行ない元の光沢を出すことができました。全体を染め上げたため色の差が出ずに明るい印象になりました。

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こちらはすり傷のあった左下角の修理後のお写真です。クリーニングである程度まで汚れを落としえぐれてしまっていた部分にも色を入れていきました。えぐれている部分は革自体がなくなっているため、どうしても触るとへこみのようなものは残ってしまいますが、見た目ではわからないほどに修理ができました。染め直し修理後にコーティング加工は行なっておりますが、通常のラムスキンと同様に水分には弱い性質を持つ革となっていますので修理後の取り扱いには注意をしてください。長くお使いいただけるよう市販の革用防水スプレーもおすすめです。市販の革用防水スプレーをする際にはまず、目立たないところで試してから行なって下さいね。最後まで読んでいただきありがとうございました。ルイ・ヴィトンの修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではお客様の様々なご要望にお応えできるよう日々研究に努めております。こんな修理がしたい。こんな風にリペアしたいなどのご相談がございましたら公式サイトのお問い合わせフォーム又はお電話にて無料カウンセリングを行っておりますのでぜひご活用くださいませ。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。

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