ルイヴィトン定番ライン「ダミエ」とは?

2023.11.20

皆さんはルイヴィトンと言えばどのようなデザインが思い浮かびますか?
一番に思い浮かぶ代表的なデザインはLとVの文字が特徴的な、いわゆるモノグラムラインではないでしょうか。
モノグラムラインは今やルイヴィトンの象徴ともいえる大人気のラインです。
今回はそんなルイヴィトン製品のモノグラムラインに並ぶ、二大巨塔と言われている定番柄の「ダミエライン」について詳しくご紹介していきたいと思います。

ルイヴィトンのダミエは1888年に創業者ルイ・ヴィトンの息子であるジョルジュ・ヴィトンがデザインし誕生しました。ダミエとはフランス語で「市松模様」という意味があり、ブラウン系のカラーリングの正方形が交互に配置されたデザインが特徴的です。
ダミエが誕生した翌年の1889年、フランスでパリ万博博覧会が開催されそこでルイヴィトンはダミエを発表し、見事金賞を受賞しました。その後世界中から愛され人気が出たルイヴィトンのブランドデザインとなりましたが、商標登録をしていたにも関わらず当時は多くのコピー商品が出回っていたそうです。
そんな中で1896年、コピー商品に対抗するため新たなルイヴィトンのデザインとして発表されたのがモノグラムです。当時、モノグラムのLやV、花や星の模様は職人がひとつひとつ手書きで書き上げていたため、それに似せて同じものを作り上げるということはとても困難なものでした。その結果、同業者によるコピー商品の出回りを減少させることができたそうです。
このように、現在はルイヴィトンといえばモノグラムを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は先に誕生したブランドデザインはダミエだったのです。

モノグラムとダミエの共通点、それはどちらも日本文化がルーツになっていると言われている点です。
1889年のパリ万博博覧会が開催された頃、長く国を閉ざしていた日本が開国を始めたことによって日本の文化がヨーロッパで高く評価されるようになり、「ジャポニズム」という現象が起こりました。
このジャポニズムの影響を受けたヨーロッパのアーティストやデザイナーたちは、日本の美学を通して新しいアイデアを得ていき、モノグラムは日本の家紋から、ダミエの格子柄は日本の伝統的な市松模様からインスピレーションを受けたとされています。

ルイヴィトンのダミエには定番のブラウン系のデザインのほかにも、ホワイト系やブラック系などさまざまな色使いの製品が登場しています。どれも日常使いしやすい色使いでそれぞれ異なる雰囲気があり、男女問わず圧倒的な支持を得ています。
ここでは代表的なダミエラインそれぞれの特徴について紹介していきます。

ダミエ誕生当時のブラウン系のコントラストで配置された「ダミエ・エベヌ」
今や多くの人がルイヴィトンのダミエと言えばこのエベヌをイメージするのではないでしょうか。
エベヌはフランス語でカキノキ科の常緑高木「黒檀」という意味で、黒檀は世界中で家具や弦楽器に使われています。
落ち着いたブラウンの色味は年代を問わず幅広い世代の方が使いやすく、さまざまなコーディネートにも合わせやすいことから絶対的な人気を得ています。

ホワイト系のコントラストで配置された「ダミエ・アズール」
アズールとはフランス語で「紺碧」という意味で、リビエラというイタリアの高級リゾート地の白い砂浜と青い海からイメージされました。
アズールはエベヌの落ち着いた色味に対してさわやかで若々しいイメージとなっており、コーディネートの刺し色として一つ持っておくとフレッシュな印象が与えられるのではないでしょうか。

ブラック系のコントラストで配置された「ダミエ・グラフィット」
グラフィットは鉱物のグラファイトからインスピレーションを得たと言われており、そのグラファイトのようなグレーとブラックの配色は男性でも使いやすいアイテムとなっています。
シックで大人なイメージとなっているので、ビジネスシーンにも相性が良くビジネスバッグやブリーフケースなどのアイテムによく使われています。

上質なトリヨンレザーにエンボス加工を施した「ダミエ・アンフィニ」
アンフィニとはフランス語で「無限」を意味しています。
ダミエ・グラフィット同様にブラックとグレーを基調としていますが、アンフィニは型押しのデザインとなっているため、独特な凹凸があり上品で高級感溢れるラインとなっています。

歴史あるダミエデザインを大胆に拡大した「ダミエ・ジェアン」
ダミエ柄を大きくすることによってシンプルで落ち着いた印象になり、カジュアルでありながらもシックでモダンなデザインとなっています。
また、強化ファイバーを用いた高度な製織技術によって従来よりも軽量化され、なおかつ丈夫な生地を実現させているので、レジャーバッグやトラベルバッグなどの実用性が考えられたラインとなっています。

ルイヴィトンのダミエラインはシンプルで多くの人が親しみやすく、色合いやデザインによってカジュアルなものから高級感溢れるものまでさまざまな雰囲気が楽しめます。

ダミエの特徴的な2色の濃淡カラーを使用した格子柄は、汚れが目立ちにくいという特徴があります。
日常使いするアイテムや長年使用しているアイテムはどうしても傷や汚れが付いてしまうものですが、2色のカラーが傷や汚れを目立ちにくくし、美しい見た目を長い間保ち続けてくれるというメリットがあります。
また、ダミエにはトアル地という耐久性や耐水性に優れた合成皮革素材が使われているので、水をはじきやすく、汚れが付いてしまっても簡単に落としやすい特徴があります。
トアル地の詳しい説明については別の記事で紹介していますので、ぜひご参照くださいませ。(合成皮革・トアル地について)

2色のカラーリングが規則的に配置されたデザインは一見シンプルな印象を受けますが、この絶妙なカラーの組み合わせはシンプルでありながらも洗練されたデザインになっており、流行に左右されることなく長期にわたって愛用することができます。
その派手すぎず地味すぎないデザインはカジュアルシーンからビジネスシーンまでどんな場面のコーディネートにも合わせやすいことから、男女問わず幅広い年代から指示されています。
また、ブランド名の主張が激しくなく、ところどころにさりげなく刻印されていることによってさりげない高級感を出しています。

実際にルイ・ヴィトン修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでお受けした修理事例をご紹介します。

財布の修理依頼で多くご相談いただくのがファスナー部分の修理です。
こちらのご依頼品はファスナーが閉まらなくなってしまったということで修理のご依頼をいただきました。
ファスナーが閉まらない(閉めても開いてしまう)原因の多くは、使用していくうちにスライダー(ファスナーと引手を繋いでいる部分)の緩みが出てきてしまい、ファスナー部分の金具が嚙み合わなくなることによって起こります。
このようにファスナーが閉まらなくなってしまった場合は弊社ではスライダー交換を行います。
ルイヴィトンの刻印が入っている引手は基本的に再利用可能でございますので、修理前と修理後の財布を見比べてみても見た目の違いはあまり分からないかと思います。

こちらはルイヴィトン製品の中でも特に人気のあるネヴァーフルの修理事例です。
ハンドルと口革部分のヌメ革の劣化や色むらが起きてしまったため修理のご依頼をいただきました。
ヌメ革の最大の特徴としては、紫外線や空気中の酸素によって色の変化(エイジング)が起こることが挙げられます。ヌメ革はとても繊細なものであり、定期的にブラッシングや保湿などのお手入れを行うことがとても重要です。
このようにヌメ革の劣化や色むらが起きてしまった場合は、新しいヌメ革から同じ形になるように切り出して作成したものと交換します。
修理前と修理後のバッグを見ていただくと、ハンドルと口革を交換したことによって見た目の風合いががらっと変わり、サイドベルトのオリジナルは残しつつも新品同様に蘇らせることができました。
ヌメ革の詳しい説明については別の記事で紹介していますので、ぜひご参照くださいませ。(ヌメ革交換について)

今回はルイヴィトンの定番ラインである「ダミエ」の歴史や修理事例についてご紹介させていただきました。見た目で分かる形や色、柄などの情報はすぐに知ることができますが、そのブランドの歴史を知る機会はなかなか無いものですよね。皆さんが現在愛用されているブランドもその歴史を調べてみると様々な発見や創業者の思いを知ることができ、自然と製品への思いも特別なものになるのではないでしょうか。その結果、もっと大切に取り扱おうという気持ちにもなれます。

REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは、ご依頼品に対するお客様の気持ちも大切にしながら修理やクリーニングを行っております。今回ご紹介したルイヴィトンのダミエ以外にも、様々なラインのアイテムやルイヴィトン以外のブランドの修理も承っておりますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。


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