高級ブランドへの意識

2024.05.23

皆様は高級ブランドやハイブランドと聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?ブランドが好きで身近に感じる方もいれば、遠い存在のように感じる方もいることでしょう。
今回は高級ブランドに対しての意識や、その移り変わりなどを見ていきたいと思います。


そもそも高級ブランドとは一体どのようなブランドのことを指すのでしょうか? 数十万円以上の物を売り出しているところなのか、ブランドとしての歴史が長いところなのか……。
実は、高級ブランドの定義ははっきりしていないのです。
例えば「高級ブランド」や「ハイブランド」と言った呼び方はどちらも高価格帯のブランドを指す言葉として使われますが、実際のところその明確な定義というのは存在しません。
一般的には以下のようなイメージの違いがあると言われています。

≪高級ブランド≫
歴史:長い歴史がある
伝統:伝統的な製法やデザインを重視
品質:非常に高い品質
顧客層:富裕層
イメージ:格式高い、エレガント

≪ハイブランド≫
歴史:比較的新しい
伝統:トレンドを取り入れたデザイン
品質:高品質
顧客層:幅広い層
イメージ:華やか、スタイリッシュ

しかし、これらの違いはあくまでも目安であり、必ずしも当てはまるわけではありません。近年ではハイブランドと呼ばれるブランドでも歴史や伝統のあるブランドが増えてきています。また、高級ブランドと呼ばれるブランドでも様々なブランド、メーカーとコラボレーション製品を発表したり、比較的安価なラインを展開したりするなど、境界線が曖昧になりつつあります。

ただ、長い歴史と伝統を持つ高級ブランドで間違いなく高級ブランドと称することができる三大ブランドがあります。まずはそのルイヴィトン、エルメス、シャネルを簡単にご紹介していきましょう。


1-1 Louis Vuitton(ルイ ヴィトン)

Louis Vuitton(ルイ ヴィトン)は、1821年フランス東部のジュラ地方に生まれたルイ・ヴィトンによって創業された、世界屈指のラグジュアリーブランドです。14歳でパリへ渡ったルイ・ヴィトンは当時流行していたトランクの製作技術を学び、20年以上の経験を積んだ後、1854年にはパリにアトリエをオープン。当時の旅行鞄は木製や革性が主流でしたが、ルイヴィトンは防水性と耐久性に優れた素材を使用した画期的な鞄を発表し一躍有名となりました。

その後ルイヴィトンは模倣品防止のための「ダミエ・ライン」を展開し、ブランドとしてのアイデンティティを確立。ルイヴィトンの息子であるジョルジュ・ヴィトンが後を継ぎ、現在に至るまでさまざまなデザイナーによる様々なデザイン、ラインが展開され続けています。


1-2 Hermès(エルメス)

Hermès(エルメス)は、1837年にフランス・パリでティエリー・エルメスによって創業された、世界屈指のラグジュアリーブランドです。当初は馬具工房としてスタートしましたが、卓越した職人技と高品質な素材へのこだわりで、ヨーロッパ王侯貴族をはじめとする上流階級から絶大な支持を集めました。

20世紀に入ると、自動車の普及に伴い馬車の需要が減少する中、エルメスは時代の変化にいち早く対応し、馬具製作の技術を生かしたバッグや財布などの皮革製品の製造に乗り出しました。中でも、1922年に発表されたケリーバッグは、モナコ公妃グレース・ケリーが愛用したことによって世界的に大ヒットし、エルメスのアイコンバッグとなりました。
現在でも最高品質の革製品を作り続けています。


1-3 CHANEL(シャネル)

CHANEL(シャネル)の始まりは1909年にフランスのパリでココ・シャネル(ガブリエル・ボヌール・シャネル)が開店した帽子店です。当時は男性用の帽子が主流でしたが、ココ・シャネルは女性らしいエレガントなデザインの帽子を次々と発表し、大きな人気を集めました。

その後、1913年にはリゾート地ドーヴィルにブティックをオープンし、スポーツウェアを発表。1918年にはビアリッツにオートクチュールメゾンを設立し、現在では、オートクチュール、プレタポルテ、バッグ、シューズ、アクセサリー、化粧品、香水など幅広い商品展開を行い、世界中の女性を魅了し続ける、世界屈指のラグジュアリーブランドへと成長しています。


さてここまでは高級ブランドがどのようなものか、どんなブランドがあるのかをご紹介してきました。そろそろ今回の本題である高級ブランドへの意識について見ていってみましょう。

高級ブランドへの意識というのは、消費者側から見た意識のことです。ブランドはその流行によって世間を動かし歴史を作ることができますが、その受け手である消費者はどのような意識を持ってブランドを見てきたのでしょうか?
今回は日本における高級ブランドへの意識にフォーカスしていきます。


2-1 バブル期以前

日本に高級ブランドが普及し始めたのは1960年代のことです。背景としてパスポートの審査免除制度が導入されたことで海外旅行が普及し始め、海外ブランドが国内へ持ち込まれるようになったことが挙げられます。当時の高級ブランドは都心の百貨店に並んでおり、富裕層が買い求める希少価値の高いものとしての認識が高かったようです。

また、1970年代ごろまでは高度経済成長期を迎えており、国民の所得水準は大幅に向上したことにより人々が以前よりも多くの余暇とお金を楽しむことができるようになったことも大きく関係しています。同様にテレビや雑誌の普及も著しい時期であり、メディアに登場するモデルや著名人が身に付けているブランドに憧れ、画一的なファッションから多種多様なファッションへの興味の移行……そういった要因が重なり合い、ブランドブームが到来します。

ブランドブームでは1978年に銀座店をオープンしたルイ・ヴィトンをはじめイヴ・サンローラン、グッチ、プラダ、ラルフローレン、バーバリーなど様々なブランドが流行し、現代のファッションやブランド文化の礎を築くこととなりました。

~ルイヴィトン店舗のショーウィンドウ~

皆様はルイヴィトンの店舗をご覧になったことがありますでしょうか?
全く気にせずに歩いていても非常に特徴的なショーウィンドウに思わず目が奪われてしまいますよね。大きい店舗であればあるほどそのショーウィンドウも大きく、派手なイメージがあります。
ルイヴィトンのショーウィンドウは元々シンプルなものが多かったのですが、2003年にルイヴィトンのクリエイティブ・ディレクターとして就任したマーク・ジェイコブス氏がきっかけとなり次第にアーティスティックなものへと変化していきました。
ジェイコブス氏は、アートやファッション、音楽など様々な分野からインスピレーションを得て、ルイヴィトンのショーウィンドウを独創的なものにしました。ショーウィンドウ制作に著名なアーティストやデザイナーを起用することもあったようです。その結果、ルイヴィトンのショーウィンドウは単なる商品展示ではなく、芸術作品としての評価も受けるようになっています。
季節感を取り入れ頻繁に変わる独創的なルイヴィトンのショーウィンドウ。皆さんも是非ルイヴィトンの店舗に足を運んでみてくださいね。


2-2 バブル期

1980年代にはバブル期を迎えます。バブル期ではブランドブームの流れからブランドが更に身近なものとして認識されるようになっていました。個性を主張するファッションの傾向が強くなっていたことやその他さまざまな要因も絡まり、1980年代後半には「ロゴマニア」と呼ばれるファッション現象が起きます。

ロゴマニアはその名の通り高級ブランドのロゴを大きく目立たせた服やバッグ、アクセサリーなどが人気を集めた現象のことです。このファッション現象は現代にも影響を残しています。ルイヴィトンであればモノグラム、グッチであればダブルG、シャネルであればダブルCなど、ロゴマニア現象以降定番アイテムとなったものも多く存在しています。

また、高級ブランド品を身に付けることで個性だけでなく自身の経済力やステータスを表現しようとしたのです。


2-3 バブル崩壊から現在

バブル経済崩壊後の1990年代、日本の高級ブランドへの意識は大きく変化しました。
バブル期には「モノよりコト」という価値観が台頭し、高級ブランド品を購入することで自身の経済力やステータスを表現する人が多かったのですが、バブル経済崩壊後、日本経済は長期的な景気後退に陥ったことで人々の可処分所得が減少し、高級ブランド品を購入する余裕がなくなっていきました。
また、バブル期には物質的な豊かさを追求する価値観が主流でしたが、バブル崩壊後は精神的な豊かさや心のゆとりを求める価値観が台頭しました。高級ブランド品よりも、旅行や趣味にお金を使う人が増え、更にはグローバル化が進展し、海外からの安価な商品が日本市場に大量に流入するようになっていきます。高級ブランド品よりも、コストパフォーマンスの高い商品を選ぶ人が増えいったんですね。
こうした節約志向が強まり、高級ブランド品よりも実用性や機能性を重視する人が増えていき、日本における高級ブランドの市場は縮小することを余儀なくされたのです。

しかし、だからといってそのまま下火となるわけではありませんでした。ファッションは時代の変化によって変化し、個性や派手な主張をするデザインからシンプルなデザインが望まれるようになっていきます。もちろん高級ブランドも例外ではありません。ロゴを控えめにしたデザインがメインになっていったのです。

現代では社会的な多様化が進み、高級ブランドは経済力やステータスを表すアイテムとしての役割はほとんど無いと言っても過言ではありません。あくまで個人・個性の表現としてブランド品を身に付ける傾向が強く、その価値は個人の判断によって変化するという、ある種意識の成熟と言える展開になっています。



さて、今回は高級ブランドへの意識とその移り変わりについてご紹介させていただきました。日本では高度経済成長期をきっかけとして普及した高級ブランドがバブルによってブームにまでなり、そしてバブル崩壊によって市場が縮小していく流れが見えましたね。
現在の日本では高級ブランドも他のアイテムと同様に自己表現のポイントとしてファッションに取り入れられることも多いと思います。しかし、それでも高級ブランドへの憧れが無くなるわけではありません。そして、憧れて購入した高級ブランドはいつまでも大切にしたいですよね。

REPAIR-SHOP HIRAISHIYAではルイヴィトン以外の高級ブランド製品もクリーニング・お直しを承っております。なにか気になることがございましたらホームページの無料カウンセリングからお問合せくださいませ。


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