カナージュステッチは格子が組み合わさったデザインで、ふっくらとしたニュアンスが素敵なデザインです。特に柔らかなラムスキンに施されたカナージュステッチはディオールらしい上品で革新的な表現と言えるでしょう。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)がお預かりしたChristian Dior(クリスチャンディオール)のカナージュハンドバッグはご紹介した通りデニム素材が使用されています。落ち着いたインディゴのデニム生地が醸し出すカジュアル感と上品さが見事にマッチしているバッグです。使用を繰り返すことによって表面に擦れが起こり、ステッチとステッチの間の生地が白く浮き上がってきています。デニム生地のステッチは色の関係もありステッチ自体が目立たない仕組みになっていますが、使っていくうちに生地が白く擦れることでカナージュのデザインが浮き彫りになっていくんですね。そう考えると愛用することで味が出てくるデニム素材にピッタリなデザインなのかもしれません。ハンドルにはおそらく樹脂製と思われる硬い素材が使われています。異なる素材の組み合わせが面白いバッグです。
2025/05/21
ディオール修理リペア
Christian Diorクリーニング
こんにちは。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店のREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYAがご紹介するのはChristian Dior(クリスチャンディオール)のカナージュハンドバッグ(デニムキャンバス)のクリーニングです。砂糖が溶けてポケットにべったりとこびりついてしまっています。Christian Diorは、1946年にフランスでクリスチャン・ディオール氏によって創設された歴史あるブランドです。ディオールといえばカナージュステッチ、という連想ができるほどアイコニックなデザインは、元々は「カナージュ・キュイール(格子の革)」という名称で発表されました。しかし、ダイアナ妃へ送られたことがきっかけで彼女への敬意を込め、許可の下「レディ・ディオール」と改名されたのです。この時ディオールのクリエイティブディレクターに就任していたのはジャンフランコ・フェレ氏という人物です。元々建築家としての資格も持っていた彼。バッグのデザインにもどこか建築的な要素を感じますね。レディ・ディオールは登場から現在に至るまで多種多様のデザインとカラーバリエーションで展開されており、長く愛され続けています。今回ご依頼を受けたバッグもデニム素材を使用したことで一見すると落ち着いた色ですが落ち着きすぎないカジュアルさが魅力的なものになっています。デニム素材はフランス南部のニームという都市で作られる綾織(もしくは斜文織)生地です。綾織とは2、3本の横糸の上を縦糸が通過した後に1本の横糸の下を通過すること、を繰り返すことで織られた生地のことです。デニムの代表的な製品と言えばゴールドラッシュがきっかけとなり鉱夫たちに作業着として広まったジーンズが有名ですね。日常へと普及し現在ではファッションの一部としても非常に親しまれています。そんなデニム生地ですが、もちろん衣服にだけ使用されるわけではありません。厚手のデニムはなんといっても頑丈ですのでよく使うバッグにも最適ですし、デニムのアイテムをそれこそ擦り切れるまで使うという方もいらっしゃるかと思います。さて、そんな作業着として広まったデニムは現在、高級ブランドでも良く見るようになっています。ディオールでもお財布やバッグに使用されているようで、今回の様なカナージュやオブリークデザインになっていることもあります。
修理リペアの実例概要
さて、今回REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)がお引き受けしたChristian Dior(クリスチャンディオール)のカナージュハンドバッグのクリーニングですが、バッグの中にはなんと砂糖とキャラメルが溶けていました! スティックシュガーとキャラメルの包みを入れっぱなしにしてそのまま忘れてしまったのでしょう。ご依頼品が届いて中を確認したときにはスタッフも驚きを隠せませんでした。ポロポロ、ザラザラと生地にこびりついた砂糖、ベッタリとしていながらも表面は硬いようなキャラメル。例の少ないご依頼ですので、バッグに使用されている素材や生地の状態を確認し、最適なクリーニング方法をスタッフで話し合い検討しました。話し合いの末、ぬるま湯を使って水洗いを行うことになりました。革が使用されていないため水洗い可能なことは不幸中の幸いと言えたでしょう。通常、水洗いをする前にはできる限り付着物を落としてから取り掛かります。今回のご依頼品の場合は付いている砂糖をブラシと指で擦り粒を取り除き、キャラメル部分についてはヘラを使ってできる限りそぎ落としました。
その後は通常のクリーニングと同じように油溶性汚れ用の洗剤と水溶性汚れ用の洗剤それぞれで処置を行い、お湯に漬け込みました。表側はデニム素材で比較的色が落ちやすいものでしたので、濡らす部分は最小限に留める必要がありました。お湯への漬け込みが終わったら最後に素材に優しい洗剤で全体を洗い、しっかりと水で洗い流し乾燥したら完成です。結果はご覧の通り、砂糖もキャラメルも綺麗に落ちています。内側の生地がナイロンやポリエステル素材のようなツルツルとした生地だったのも幸いでした。これが綿などの素材であれば繊維のもっと奥へ入り込んでしまいここまで綺麗に落とすことはできなかったでしょう。もし取れていたとしてもシミとして残っていたかもしれません。REPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは素材に合ったクリーニングができるよう努めております。クリーニング、とくに水洗いは素材に負荷をかけますので、その負荷をいかに最小限に留めることができるかがポイントです。ご依頼を受けるバッグやお財布は新品ではありません。お客様がご愛用されたものですので、全く同じ製品でも劣化や汚れ方、使用状況や保管状況も異なります。
例えば同じ製品で同じような汚れ方をしているものを別々のお客様からお預かりしたとして、その二人のお客様が全く同じ使い方をしているわけでもなく、全く同じ環境で使用しているわけではありません。そのため同じクリーニングを行ったとしても片方だけ傷みが表面化する場合もあります。ご依頼品がどんな状態なのか見極め、最適なクリーニング方法を行うことが重要なのです。とはいえ、食べ物は鞄に入れっぱなしにしないようにしたいものですね。さて、今回はChristian Dior(クリスチャンディオール)のカナージュハンドバッグ(デニムキャンバス)のクリーニングをご紹介させていただきました。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店REPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)では、高級ブランドの正規店では断られてしまった修理内容もお受けできる場合がございます。ご注文の前に簡単なお見積もりができる事前相談サービス「無料カウンセリング」もご用意しております。困ったこと、ご不安なことなどございましたらぜひ一度ご相談くださいませ。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。