今回お預かりしたのは、ディオールを象徴するアイコンバッグ、レディ ディオールです。このバッグは、ブランドのアイコンであるカナージュ・ステッチが全体に施されており、ふっくらとした立体感と高貴でエレガントな印象を与えています。その建築的なフォルムは持つ人に品格と優雅さをもたらし、時代に左右されない魅力を放ちます。 構築的なスクエアフォルムと、メゾンの頭文字をかたどった「D.I.O.R.」のチャームが、このバッグのアイデンティティを完成させており、優雅な華やかさを添えています。ショルダーストラップも付属し、実用性も兼ね備えているため、幅広いシーンで愛用されています。 また、深く洗練されたネイビーブルーも印象的ですね。ネイビーブルーの“ネイビー”は英語の「Navy(海軍)」に由来しており、元々はイギリス海軍の制服の色として採用されたことから、この濃い青が「ネイビーブルー」と呼ばれるようになりました。ネイビーブルーはその由来からプロフェッショナル、冷静さ、知性のようなイメージを持たれます。ファッションに取り入れることで引き締まったスマートさを印象付けることもできるでしょう。ビジネスシーンで非常に活躍が期待できるバッグですね。
2025/11/16
ディオール修理リペア
Christian Dior補色修理
こんにちはREPAIR-SHOP HIRAISHIYA(リペアショップひらいしや)です。今回ご紹介するのは、Christian Dior(クリスチャン・ディオール)のレディ ディオールハンドバッグの補色修理です。Christian Diorの物語は、1946年に創設者クリスチャン・ディオール氏が「ニュールック」を発表し、戦後のファッション界に革命を起こしたことから始まりました。その華やかさとエレガンスは、メゾンの揺るぎないDNAとなっています。そのディオールを象徴するアイコンバッグこそが、今回ご依頼いただいた「レディ ディオール (Lady Dior)」です。レディ ディオールが誕生したのは1995年。この時、ディオールのクリエイティブ・ディレクターを務めていたのは、イタリア人デザイナーのジャンフランコ・フェレ氏でした。「ファッション界の建築家」と呼ばれた彼は、構築的で力強いデザインを得意としていました。フェレ氏は、ディオールの持つロマンティックな要素に、自身の建築的な視点と大胆なボリューム感を融合させ、メゾンに新たな時代をもたらしました。レディ ディオールも、まさに彼の建築美学が凝縮されたバッグと言えるでしょう。垂直と水平のラインが際立つ端正なスクエアフォルム、そして最大の特徴である「カナージュ・ステッチ」は、単なる装飾ではなく、バッグの構造的な美しさを際立たせています。このカナージュ・モチーフは、ディオールが初めて開催したファッションショーの会場で、招待客が座ったナポレオン三世様式の椅子の柄から着想を得ています。メゾンの歴史と密接に結びついたこのデザインが、バッグに格調高い背景を与えています。ステッチが生み出すふっくらとした視覚効果も魅力です。時代が変わっても、女性を美しく見せるというディオール哲学がこのバッグには息づいています。当初「カナージュ・キュイール」という名称で発表されましたが、世界的アイコンとなったダイアナ元妃に贈られ愛用されたことで一躍有名に。ディオールは彼女への敬意を込め、名称を「レディ ディオール」へと改名しました。このエピソードは、このバッグが単なるトレンドを超え、真のエレガンスと高貴さを象徴する存在となった瞬間でもあります。流行に左右されないその普遍的なデザインは、様々なサイズや多種多様な素材、カラーバリエーションで展開されており、現在も変わることのないディオール・エレガンスの象徴として、アイコンバッグとして高い人気を誇り多くの女性に愛され続けています。
修理リペアの実例概要
今回ご依頼いただいたレディ ディオールは、その繊細で美しいラムスキン(仔羊革)ゆえのダメージが見られました。特に手に持つ頻度が高いハンドル部分は、手の脂や摩擦によって表面の染料が剥がれ、色が薄くなっている状態でした。さらに深刻なのが、バッグの構造上、最も負荷がかかりやすい底面の角部分です。色も剥がれていますが、それだけでなく、革の繊維が擦り切れて毛羽立ちが見られます。これは、バッグを地面やテーブルに置く際の強い摩擦が原因で、デリケートなラムスキンの表面層が耐えきれずに削れてしまった結果です。ラムスキンは非常に薄く、衝撃に弱いことが、この症状を加速させます。ラムスキンは、柔らかくしなやかですが、その分摩擦に対する耐性は低いという特性があります。特に、底面の角のように一点に負荷が集中し、硬い表面と接触する機会が多い部分は、新品時に入れられた染料層から剥がれていき、地の色や繊維が露出してしまいます。このままの状態を放置すると、毛羽立ちが進行し、革の破損につながる恐れがあるため、今回はこの色剥げを修復し、美しいネイビーカラーを蘇らせる補色染めを行うことになりました。
レディ ディオールの補色修理は、そのラムスキン特有のデリケートさと、カナージュ・ステッチの複雑な凹凸デザインのため、非常に高度な技術と細心の注意が求められます。 まず、補色を行う前の前処理とクリーニングが重要です。長年の使用で付着した汚れや油分を丁寧に除去することで、染料の定着を良くします。この際、柔らかいラムスキンを傷つけないよう、また、凹凸のあるカナージュ部分の汚れを確実に落とすため、素材とデザイン特性に合わせた専用のクリーナーとツールを使い分け、熟練の職人が手作業で行います。縫い糸の染めムラや、本来の色を損なわないよう、細部にまで気を配りながら作業を進めます。 下地が整ったら、いよいよ補色染めです。元のネイビーブルーの色味を忠実に再現するため、複数種類の染料を微調整しながら調色を行います。染料は、均一に薄く何層も重ねて吹き付けたり、筆で丁寧に塗布したりすることで、色ムラなく、自然な仕上がりを目指します。これにより、擦れて色が剥がれたハンドルや底面の角部分も、元の状態に近い美しいネイビーカラーを取り戻し、お客様に再び安心してお使いいただけるレディ ディオールへと蘇らせることができました。
補色修理を終え、ネイビーブルーのラムスキンが持つ本来のエレガンスさが復活しました。バッグ全体の色ムラや擦れが解消され、底面の角部分では、擦り切れて毛羽立っていた生地も整えられ、美しいネイビーカラーが隅々まで定着しました。完成したバッグを手に取られたお客様の「綺麗になって嬉しい!」という喜びの笑顔が、私たち職人にとって何よりの励みです。 「バッグの色剥げは諦めるしかない…」と思われる方もいらっしゃいますが、今回のように高級なラムスキンバッグの色剥げは、専門の補色修理で美しく蘇らせることが可能です。私たちは、これからもお客様の愛着あるバッグを大切に修理し、長くご愛用いただけるようサポートさせていただきます。 以上で、今回のChristian Dior(クリスチャン・ディオール)のレディ ディオールハンドバッグの補色修理のご紹介を終わらせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。高級ブランドバッグ・財布等の修理専門店であるREPAIR-SHOP HIRAISHIYAでは、高級ブランドの正規店では断られてしまった修理内容もお受けできる場合がございますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。お客様のご利用をスタッフ一同お待ちしております。





